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<原発再稼動>核のごみ抑制策なく無責任

「原発再稼働の前に、核のごみの暫定保管計画作りが必要」と強調する今田氏

◎日本学術会議が異議

 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分のめどが立たない中、九州電力川内原発(鹿児島県)が再稼働したことに、科学者団体の日本学術会議が異議を唱えている。学術会議は最終処分への国民理解を得るため、核のごみの暫定保管計画の策定などを再稼働の条件とするよう提言したが、国や電力会社は応じていない。学術会議は10月に東京で公開フォーラムを実施し、提言に耳を傾けるよう訴えかける方針だ。(東京支社・小沢邦嘉)
 再稼働に反発するのは、学術会議の「高レベル放射性廃棄物の処分に関するフォローアップ検討委員会」のメンバー。委員長の今田高俊東工大名誉教授(社会システム論)は「再稼働は核のごみの増大につながる。この先、どれだけ発生するのか不確定なままでは国民は納得せず、将来世代にも無責任だ」と指摘する。
 4月に公表した提言は、核のごみを原則50年暫定保管する間、国民の合意形成を図りながら最終処分地を選び、処分場を建設する内容。国民の原発不信を背景に処分地選定に30年、処分場建設に20年を要すると見込んだ。電力会社には再稼働の前に、暫定保管計画作りと、核のごみ発生を抑制する総量管理を求めた。
 国は5月、最終処分地について、自治体の応募を待つ手法を改め、国が前面に立って選定する方式に切り替えた。ただ、「暫定保管は、現世代で解決すべき問題の先送りになる」(資源エネルギー庁)として提言を採用していない。
 国の姿勢に対し、今田氏は「『再稼働とごみ処理の話は別』と逃げている。国民の信頼が回復しなければ処分地は選べないはずで、暫定保管計画を作り、時間をかけて問題解決を図るべきだ」と訴える。同じく検討委メンバーで東北大大学院の長谷川公一教授(環境社会学)も、国が2030年時点の原発比率を全発電量の20〜22%と決めた経緯に触れ「核のごみを無制限に増やさぬよう歯止めをかけるべきなのに、総量管理の考えを採用していない」と批判する。
 学術会議は10月10日、提言の実現に向けたフォーラムを東京都内で開く。策定に携わった科学者らによるパネル討論などを予定しており、今田氏は「多くの市民に関心を持ってもらい、政府や電力会社との不協和音を徐々に解消していきたい」と話している。


2015年08月31日月曜日

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