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<闘犬の本場青森>愛好家も虐待を憂慮

トラクターに乗って犬を運動させる赤見内さん

◎土佐犬を追う(下)タブー

<「子育てと同じ」>
 へっへっへっ。トラクターに鎖でつながれた体重約50キロの雄犬が、あえぎながら車両と並走する。青森県階上町の赤見内清一さん(61)は、早朝に犬を運動させるのが長年の日課だ。
 現在は雄3匹の面倒を見る。「犬はわらしを育てると同じだぁ。犬をやっていると気持ちが若くなる」
 3匹のうち、生後1年3カ月の兄弟の一方は土俵の上で相手の犬に向かっていかない。それでも、ほかの2匹と同じように運動に連れて行ってもらい、大事に育てられている。
 赤見内さんは「たたいてもかからない(闘わない)ものはかからない。駄目な時は人に譲る。つぶす(処分する)のは子ども殺すのと同じ」と強調した。
 棒でたたいて闘争心をあおったり、薬を使って処分したりするのは、仲間内でタブーだ。しかし、闘犬は虐待の噂(うわさ)が絶えない。
 愛好家は犬が1歳を過ぎれば闘犬に出す。相手に向かっていけば問題ないが、2歳を過ぎても闘わない犬は存在価値がないに等しい。最期まで世話するか、仲間に譲るか、いっそのこと…。

<最高齢は5歳半>
 ある愛好家は、メモを取らない条件で県南地域の実情を語った。
 「駄目だと、飼い主は殺して埋めてしまう。おれは犬がかわいそうで、よそにやった。たぶん店の方に流れたのでないか。ダイテンナベだな」
 「大、鍋」または「大点鍋」と書く。「大」に「、」で「犬」だ。県南地域には裏メニューで犬鍋を出す店があるらしい。その愛好家は知人が副業で肉を卸していたことを明かした。
 別の機会に「フィラリアなどの予防注射を打つと犬がけんかしなくなる。注射を打たないから、大半は病気になって6歳で死ぬ」という話も聞いた。寿命は10年のはずだが、取材で出合った20匹超の犬の最高齢は5歳半だった。
 このご時世、愛好家の多くはタブーの存在を憂慮する。闘犬の競技ルールを厳格化しても、土俵外で手荒な事をしていれば虐待のそしりは免れ得ない。

<公的処分はまれ>
 青森市郊外にある県動物愛護センターの抑留・焼却施設は犬猫を年間1000匹以上処分するが、土佐犬が運ばれてくることはまれだという。それは、さまざまな問題を愛好家が自らの手で片付けていることを暗に表している。
 八戸市の動物保護ボランティアの女性は、ペットにはなり得ない犬の性格を哀れみ、「闘犬の愛好家は高齢化し、若い世代は少ない。いずれ土佐犬は消えていくだろう」と語った。
 青森で戦火を逃れ、闘犬用に改良を重ねられた土佐犬。おまえたちはどこへ向かってるんだ? おり越しに問い掛けても、犬はただほえるばかりだ。

[飼育法]雄はおりに入れて単独で飼う。餌は1日1食。青森県南では南部せんべいのみみに米や鶏肉を加えて煮た物を与えている。ほかの犬種同様、年1回の狂犬病注射が義務付けられている。子犬は愛好家間で売買され、価格は1匹数万円から十数万円。


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2015年09月03日木曜日

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