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<原発事故>アーカイブ施設 国整備前例なし

 東京電力福島第1原発事故の記録と教訓を伝えるアーカイブ施設「ふるさとふくしま再生の歴史と未来館」(仮称)について、福島県内の大学教授や避難自治体の首長らでつくる有識者会議が10日、展示の在り方などに関する提言を内堀雅雄知事に行った。東京五輪が開催される2020年度までに国が主体となって整備するよう求めたが、災害に関する本格的なアーカイブ施設を国が建設した前例はなく、今後の協議が難航することも予想される。
 有識者会議会長の小沢喜仁福島大副学長が県庁で内堀知事と面会し、報告書を手渡した。内堀知事は「原子力災害は伝え続けていくことが重要。国との協議を加速させたい」と述べた。
 施設は、原発誘致の歴史の解説に始まり、事故後の避難や除染の写真・映像を紹介し、災害対応ロボットなども展示する。浪江、双葉両町の沿岸部に整備予定の復興祈念公園に併設する案が浮上している。
 施設はもともと、浜通り地方に廃炉拠点などを整備する「イノベーション・コースト構想」に盛り込まれていたが、設置主体は決まっていない。県は国が整備するよう再三、要望してきたが、国は明確な回答を避けてきた。
 災害に関するアーカイブ施設をめぐっては、被災自治体が主体となって設置している例が大半だ。阪神淡路大震災では兵庫県が「人と防災未来センター」を神戸市に整備。茨城県東海村のJCO臨界事故では、県内の既存施設に事故の概要を伝える展示コーナーを国が設けたが、新たな施設の建設には至らなかった。
 東日本大震災でも同様で、岩手県は陸前高田市の既存施設を利用して県が伝承施設を整備。宮城県は市町村が主体となって設置を検討している。
 有識者会議の事務局を務める力丸忠博・福島県生涯学習課長は「福島は人類初の複合災害に見舞われた。国が責任を持ち、世界へ発信すべきだ」と今後も国に設置を求める考えをあらためて強調した。


2015年09月11日金曜日

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