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<原発事故>畜産の命運託され奮起

牛舎の前で笑顔を見せる田中社長

 東京電力福島第1原発事故で休業した酪農家5戸が共同経営する「復興牧場」は、大規模共同経営のモデルとしての役割も期待されている。運営会社フェリスラテの社長を務める田中一正さん(44)は「酪農で食べていけるという復興の次の段階に進みたい」と意気込む。
 東京生まれ。自然と触れ合える仕事にあこがれ、短大卒業後に栃木県の大規模牧場に就職した。2001年に独立し、福島県飯舘村長泥地区に牧場を構えた。
 乳牛を50頭にまで増やした10年目に原発事故が起き、長泥地区は帰還困難区域になった。全頭の殺処分だけは免れたいと切望し、半分は知り合いに引き取ってもらった。
 山形県飯豊町に避難して牧場で働いた後、12年春に福島市に移り、共同牧場の設立、運営に携わった。そうした経験を買われ、県酪農協が整備する復興牧場への転身を打診された。
 長時間労働の割に収入が少なく、酪農家の後継者不足は深刻だ。福島県酪農協によると、県内の酪農家は現在354戸。5年間で3割以上減少した。
 「復興牧場は福島の畜産業の命運が懸かったプロジェクト。経験を生かしたい」と参加を決めた。共に経営に当たる30〜50代の4人と打ち合わせを重ねてきた。
 大規模共同酪農は経営効率化が期待できる一方、牛の健康管理などの面で難しさも指摘される。「原発事故で一度は挫折したが、酪農は生きがい。風評のハンディはあるが、福島の酪農業のカンフル剤になればいい」と話す。


2015年09月26日土曜日

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