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<北海道新幹線>観光誘客の融合期待

北海道の木古内−新函館北斗間で試験走行する北海道新幹線「はやぶさ」。仙台と函館を2時間半で結ぶ

◎開業まで半年(上)つながる

 新青森−新函館北斗(北海道北斗市)を結ぶ北海道新幹線が、半年後の来年3月26日に開業する。北東北が中心だった北海道との交流が、仙台圏を含む東北全体に広がる可能性を秘める。新幹線効果を追い風に「ほくとう新時代」を築き上げることができるか。現状と課題を探った。(報道部・山口達也、青森総局・畠山嵩)

 東北と北海道が高速鉄道でつながる。仙台−新函館北斗間は約2時間半。特急を乗り継いで4時間超の現在よりはるかに短い。
 期待はさまざまな分野で膨らんでいる。旅行業界は最たる例だ。
 旅行大手の近畿日本ツーリスト東北(仙台市)では「年末までが勝負」が合言葉のようになっている。
 北海道新幹線開業を見据えて15人のチームを結成した。函館をメーンにした新たな旅行商品のプランを懸命に練る。
 「道南の観光スポットを紹介したい」と武藤剛史担当次長。同業他社との競争を意識し「商品の魅力を高める」と力を込める。

<仙台に視線>
 函館にとっても東北が目と鼻の先になる。新幹線開業後は鉄道による時間距離に限っては、札幌より仙台の方が近くなる。
 「函館は東北の一部と言えるような存在になり得る」と、函館商工会議所新幹線函館開業対策室の永沢大樹室長。1980年に34万だった人口が27万に落ち込んでいる現状を踏まえ「仙台エリアからの観光客の呼び込みは不可欠だ」と強調する。
 東北から北海道へ、北海道から東北へ。新幹線がつなぐのは両地域間だけではない。
 北海道新幹線開業後の旅行需要を探るため、東北運輸局が実施した調査によると、首都圏居住者の32%が函館観光前後に「東北に可能な限り立ち寄りたい」と回答。「場合によっては立ち寄りたい」(56%)を含めると9割近くに上った。
 「(例えば)函館と仙台は共に利益と恩恵を受ける関係になる」。函館市政策推進課の中村勇人課長は強調する。
 首都圏をはじめ全国から東北・北海道へ。その流れは強く、太くなり得る。

<北の玄関口>
 海外との距離が一気に縮む可能性も大いにある。
 観光庁が6月に認定した訪日外国人向けの「広域観光周遊ルート」。東北では官民組織の東北観光推進機構が申請した「日本の奥の院・東北探訪ルート」が認められた。
 ルートは新潟を含む東北の観光拠点16カ所を結ぶ。外国人が東北に入り込む玄関口には東京に加え、函館を盛り込んだ。
 観光庁によると、2014年の東北の外国人宿泊者は延べ40万2000人。全国のわずか0.9%でしかない。東京電力福島第1原発事故の風評被害は解消されておらず、東日本大震災前の10年(50万5400人)の水準すら回復できていない。
 一方、新幹線で東北とつながる函館の外国人宿泊者は延べ33万人で、27万の人口を上回る。背後に広がる北海道全体でみると、東北の9倍に当たる389万人に膨らむ。
 東北観光推進機構は国の補助を受けながら、観光案内板の多言語化や海外に向けたPR活動を進める方針。紺野純一専務理事は「(夜景などに代表される)函館のブランド力、集客力を東北観光と融合させたい」と意気込む。

[北海道新幹線]JR北海道が事業主体となり、新青森−札幌(約360キロ)を結ぶ路線。2016年3月26日に新青森−新函館北斗(約149キロ)が先行開業し、同区間を約1時間で結ぶ。1日13往復で、うち10往復が東京−新函館北斗。このほかに新函館北斗と新青森、盛岡、仙台をそれぞれ1往復する。新函館北斗−札幌(約211キロ)は31年春ごろの開業を見込んでいる。


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2015年09月27日日曜日

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