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震災、原発事故…福島の遺産展示、次代に

富岡高校の避難所で明かりに使われた美術作品のろうそく(写真手前)と、地震で落下した同校体育館の照明(同奥)

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の痕跡を保存する取り組みが、福島県内で進んでいる。県立博物館などでつくる「ふくしま震災遺産保全プロジェクト」実行委員会は昨年5月以降、200点以上の遺物を収集。新たな収集品を含め、10月6日まで福島大で一般公開しており、「震災を直接示す物を通して、福島で何が起きたのかを伝えたい」と来場を呼び掛ける。
 公開しているのは南相馬市や浪江町など沿岸部で集めた69点。これまでの展示会では津波被害を伝える物が中心だったが、原発事故に伴う避難区域にあった物品の収集も徐々に進み、当時の緊迫した状況を知ることもできる。
 避難所となった富岡高校(富岡町)に残っていた物品を今月15日に収集し、13点を初めて公開した。原発事故による緊急避難のため住民が過ごしたのは一夜のみ。生徒の美術作品のろうそくを用いた明かりや非常食のパン、「トイレは水が流れません」と記した張り紙などが、暗闇の教室の雰囲気を生々しく物語る。
 震災の痕跡は復興の進展とともに失われている。津波と火災被害を受けたいわき市久之浜商店街の焼け残った街灯は、解体業者が処分する前日に見つけ出した。会場では溶けた街灯の破片を展示しており、保存の難しさも同時に伝える。
 県立博物館の高橋満主任学芸員は「震災を伝える力が、物にはある。次世代だけではなく、今を生きる同時代の人、福島のことをあまり知らない人たちにも情報発信していかなくてはならない」と話す。教育現場での活用や、県外での公開も検討していくという。
 展示会場は、福島大のうつくしまふくしま未来支援センター。午前9時半〜午後4時半。入場無料。


2015年09月29日火曜日

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