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<全町避難>無力感・苦労・希望つづる

職員らの証言を基に富岡町が発刊した震災と原発事故の記録誌。町のホームページで読むことができる

 東京電力福島第1原発事故で全町避難する福島県富岡町は、事故当時の町の対応や避難過程などを収録した「東日本大震災・原子力災害の記憶と記録」を発刊した。原子力災害への無力感や避難所運営の苦労、再生への希望が、町職員らの率直な言葉で語られ、原子力施設を抱える他の自治体への教訓になる一冊とも言えそうだ。

 原発事故で経験した事実と教訓を後世に伝えるのが狙い。2014年3月末までの3年間を、町幹部ら約60人から聞き取り、全4章にまとめた。
 第1章「震災発生からの1カ月」では、11年3月11日夜の町災害対策本部の対応などを収録した。第1、第2原発との直通電話が不安定な上に、飛び交う専門用語に翻弄(ほんろう)され、悪化する原発の状況を正確に把握できなかった経緯を詳しく記した。
 第2章は全町避難を中心に記録。11年4月、郡山市内に出張所を設置した際の様子を再現した。町民からの電話が殺到する一方、国の対応もめまぐるしく変わる。身動きが取れない町の苦悩がつづられている。
 原発事故で避難を強いられた自治体でも、職員らの証言による記録誌は珍しい。編集を担った前企画課長の菅野利行さん(58)は「現場に張り付いていた職員の思いと事故の教訓が凝縮されている。原発立地自治体をはじめ、広く知ってもらいたい」と話す。
 記録誌の配布は町民のみ。町民以外も町のホームページから閲覧できる。


2015年10月05日月曜日

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