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<中間貯蔵>仮置き場 長期化の懸念

南相馬市原町区馬場の仮置き場。大区画水田の整備が計画されている

◎「地権者頼み」自治体危機感

 東京電力福島第1原発事故で生じた除染廃棄物を保管する福島県内の「仮置き場」が設置延長を余儀なくされている。搬出先となる中間貯蔵施設の整備が大幅に遅れているためだ。国が当初「おおむね3年」とした期限を迎えており、交渉に当たる自治体には「今後、地権者から協力を得られなければ、打つ手がない」と危機感が高まっている。(斎藤秀之、藤井宏匡)

<保管3年 期限>
 「見通しを誤った国の責任は大きい」。南相馬市鹿島区の農業但野一雄さん(68)が語気を強める。仮置き場に提供した農地の契約は10月までだ。「でも強引に撤去させれば、他地区に押し付けるだけだ」と市からの延長要請に応じる考えを示す。
 国直轄で除染が行われる避難区域を除き、仮置き場の確保は市町村の業務だ。南相馬市は現在31カ所に設置しているものの、公共用地にあるのは2カ所だけ。多くは有償で地権者に提供してもらっている。
 移送先となる中間貯蔵施設の整備は、立地する福島県大熊、双葉両町の地権者との用地交渉が難航。国が2011年10月に「3年程度」とした保管期限を迎えているが、いつ搬出できるかめどは立っていない。
 地権者からは長期保管による悪影響を懸念する声が出ている。市の担当者は「原状回復の時期を明示できなければ、延長交渉の難易度は増す」と嘆く。

<完成 保証なし>
 地域事情で仮置き場の長期利用が難しいケースもある。
 同市原町区馬場にある仮置き場は、大規模水田整備の計画地。土地契約は来春でいったん切れる。市は「長期の延長は水田工事に影響が出る」として、5万袋以上ある土砂などの移送を検討している。
 搬出時期に気をもむのは浜通り地方に限らない。既に12カ所の仮置き場を設置する福島市は、これまで8カ所の民有地で長期の契約延長にこぎ着けた。2年以上の猶予ができたとはいえ、期間内に中間貯蔵が完成する保証はない。
 福島市の担当者は「今後7カ所の新設も検討している。貯蔵施設の先行きが見えず、土地契約には不安もある」と語る。
 環境省福島環境再生事務所は「仮置き場確保で苦労を掛けて申し訳ない。地権者への説明、交渉の場に立ち会うなど、市町村のサポートに努めたい」と話している。

[除染廃棄物の仮置き場]環境省と福島県によると、仮置き場は国直轄除染が240カ所(7月末時点)、市町村除染は833カ所(6月末時点)確保されている。民家の軒先など現場保管は11万5068カ所に上る。除染廃棄物の保管総量は少なくとも計850万立方メートルと推計されている。


2015年10月18日日曜日

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