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<伊達政宗>梅にスズメ自筆絵 唯一現存品か

伊達政宗が描いたとみられる「梅ニ雀」
政宗自筆の絵を馬場出雲親成が拝領したと伝える短冊

 仙台藩祖伊達政宗が描いたとみられる絵が宮城県塩釜市の旧家に保存されていることが28日、分かった。これまで政宗自筆と伝えられた絵は2点あったが、いずれも現在は所在を確認できず裏付け史料も乏しく、自筆とみなされる絵は皆無とされてきた。今回は伝来の経緯を記した短冊が添えられており、専門家は「絵の来歴が史実と合致する。客観的に自筆絵といえる唯一の現存品だ」とみる。
 絵は縦約85センチ、横約36センチ。掛け軸に仕立てられ、梅の枝にスズメが2羽止まる様子が描かれている。主に墨を使い、スズメの頬近くだけが黄色に彩られている。
 掛け軸を納めた箱は全面が黒漆で塗られ、金泥で「御絵 梅ニ雀」と銘が打たれている。ふたの裏には「貞山公御自筆梅雀画 馬場出雲拝領」との短冊が貼り付けられ、政宗自らが梅とスズメを描き、藩士馬場出雲親成(ちかなり)に授けたと伝える。
 江戸絵画に詳しい宮城県慶長使節船ミュージアム(石巻市)館長の浜田直嗣氏は「絵は江戸前半の狩野派風で、あか抜けている。政宗らは狩野派の絵師と交流があり、政宗自筆と評価することに絵の技術面で矛盾はない」と話す。
 政宗は書や漢詩、茶の湯、能楽といった諸芸に通じていたが、絵を学んだとの記録はない。戦前の展覧会に出品された「達摩(だるま)」と宮城県内に伝わる「和歌詠草『元日』」の2点が政宗の自筆絵と伝えられた時期もあったが、伝来の経緯などが不確かだった。
 絵を授かったとみられる親成は政宗晩年の側近で文武に秀でていた。「伊達世臣家譜」には政宗から刀を拝領したとの記載や、「画軸」、高麗茶わんといった工芸品を多数授かったと読める記述もある。貴重品を与えられる間柄だったことがうかがえ、短冊に記された伝来の経緯と符合する。
 親成は相馬藩との間で起きた藩境争いで幕府との交渉を長年担当し、政宗と頻繁に手紙を交わした。争いに勝った後の1631年に死亡した際、政宗は「惜しい奉公人を殺してしまった」と嘆き、3日間喪に服したとの記録が残り、信頼関係の強さがうかがえる。
 絵を鑑定した政宗研究の第一人者、佐藤憲一氏(元仙台市博物館館長)は「拝領したのが親成と伝える点で絵は信ぴょう性が高い。親成の子孫が江戸期に箱を作り、秘蔵したと考えられる。政宗が絵心もあったことを証明する貴重な史料だ」と指摘する。


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2015年10月29日木曜日

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