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狙われる黒いダイヤ ナマコ密漁組織横行

県警が摘発した事件で、密漁グループから押収したナマコ(青森県警提供)

 陸奥湾内を舞台にした組織的なナマコ密漁事件の摘発が、青森県内で相次いでいる。中国では高級食材などとして高値で取引され、良品の乾燥ナマコは国内でも1キロ20万円超で売買されている。1組織当たりの被害額は億単位に上るとみられ、被害漁協は大きな痛手を負う。事態を重くみた県漁連(赤石憲二会長)は30日、密漁防止対策の強化を県に要望する。

 <摘発 氷山の一角>
 県警は今月、指定暴力団山口組系組員=北海道函館市=が関わるむつ市川内沖の密漁事件を立件し、これまでに計8人を逮捕した。逮捕容疑は約960キロ(約288万円相当)の密漁だが、グループは青森−函館を結ぶフェリーでナマコを運び、その乗船記録などから2014年9月以降、約80トン、2億円以上を荒稼ぎした疑いがある。
 また、青森海上保安部は昨年10月、青森市や石巻市の男11人が関与した蓬田村沿岸の密漁事件(いずれも有罪)を摘発した。内偵捜査に約2年をかけ、計約700キロを密漁した現場を押さえた。海保は「これは氷山の一角で、被害は計り知れない」と言及する。
 被害に遭った蓬田村漁協はここ10年で約6600万円を掛け、稚ナマコを放流してきた。出荷まで3、4年かかるナマコの資源を計画的に管理し、安定し始めた直後の出来事だった。

 <暴力団の資金源>
 福田幸生組合長は「ナマコの漁獲金額は年30億円近くに上る。ホタテが振るわないときに、その分を補ってくれる重要な水産資源になっている」と説明。「密漁者は裁判で執行猶予が付くことが多く、再び被害に遭うのが怖い」と明かす。
 北海道や青森県産のナマコは突起が多く鋭利なのが特徴で、見た目から「黒いダイヤ」とも呼ばれる。中国では最高級品として宮廷料理や漢方薬にも利用されているという。一方で高値取引は一獲千金につながり、捜査関係者は「暴力団の資金源に回っている可能性が極めて高い」とみる。
 漁業者らは資源管理と密漁監視に努めてきたものの、被害はやまない。県漁連はあらためて県に(1)監視体制の構築と密漁取り締まりの強化(2)国への罰則強化の働き掛け−を要請する。担当者は「県内には複数の密漁グループが存在していると思われる。自己防衛では限界だ」と強調した。


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2015年10月29日木曜日

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