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<福島県議選>帰還困難区域 語れぬ将来

町政懇談会で町の現状などを説明する伊沢町長。住民にはもどかしさも募る=10月28日、郡山市

 東京電力福島第1原発事故で古里を追われた住民の避難先での自宅再建が進む福島県双葉郡。ひときわ厳しい環境に置かれているのが、面積の96%を帰還困難区域が占める双葉町だ。その割合は郡内で最も高く、除染廃棄物の中間貯蔵施設も建設される。事故から間もなく4年8カ月。5日告示の県議選(15日投開票)は復興が最大の論点となる。住民が全国に散る町は今も、帰還の目標時期を含めた具体的な将来像を示せずにいる。

◎町外での自宅再建加速

 「前に進んでいる状況を皆さんにお見せできず、歯がゆさを感じている」。南相馬市で10月15日に開いた町政懇談会で、伊沢史朗町長はこう切り出した後、町の現状や課題を説明した。
 双葉町の帰還困難区域を除く4%は、避難指示解除準備区域に指定されている。面積は中間貯蔵施設予定地の半分以下で、しかも大半が津波被災地だ。5月にやっと国直轄の除染が始まり、本年度末に終わる予定だが、その後、県による防潮堤と防災緑地の工事が2020年度まで続く。
 町が3月策定した長期ビジョンでは、準備区域に産業拠点などを整備する。目標時期は「おおむね5〜10年後」。県の復興祈念公園以外はまだ白紙の状態だ。
 いわき市に避難する男性(74)は「帰還困難区域と津波被災地しかなく、動きようがないのは分かるが、もどかしい。双葉郡の他町村は前向きの話が出ているのに、双葉町の話題は中間貯蔵施設だけだ」と嘆く。
 長期ビジョンでは、帰還困難区域でも放射線量が比較的低いJR双葉駅周辺と、準備区域を結んで復興拠点を形成する。町は国に低線量地区の面的除染を要望。「帰還困難区域では町が勝手に決められない」と帰還時期の目標明示も求めるが、なしのつぶてだ。
 町民は38都道府県、計300以上の市区町村に避難する。復興、帰還の道筋が見えない中、避難先での自宅再建が加速する。
 いわき市の南台仮設住宅は250戸のうち100戸近くが空き家で、自治会も解散した。白河市や郡山市、福島市の仮設は入居率が30〜40%。復興庁などが昨秋に実施した住民調査で27.3%だった「持ち家」は確実に増加している。
 今春、いわき市に自宅を建て、南台仮設を出た男性(79)は「中間貯蔵施設ができるし、廃炉が終わるまでは怖くて戻れない。双葉に帰るかどうかを判断するのは、孫やひこ」と語る。
 郡山市で10月28日に開かれた町政懇談会。「一日も早く、帰還に向けた話を聞きたいのに、見通しのない話ばかり。希望が持てない」。72歳の女性の訴えに、伊沢町長は答えた。
 「どんなに厳しい状況でも復興させる。帰れないと言った瞬間、双葉町は崩壊し、なくなってしまう。戻る意思を明確に、きょうよりあす、ことしより来年と着実に進むよう努力する」

[双葉町]福島第1原発5、6号機が立地する。人口は6260(10月1日現在)で、震災時より12%減。県内に58%、県外に42%が避難する。原発事故後、埼玉県に役場機能を置き、13年6月にいわき市に移転。県が同市勿来に整備する災害公営住宅(190戸)は医療・福祉施設などもそろう「ミニ仮の町」となる計画だが、用地買収が遅れ、15年度末の完成予定が17年度後期にずれ込んだ。


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2015年11月04日水曜日

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