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<福島県議選>原発避難 見えぬ有権者に困惑

いわき市の住宅街で、双葉郡からの避難者にリーフレットを手渡す立候補予定者ら

 任期満了に伴う福島県議選で、東京電力福島第1原発事故の避難区域を抱える双葉郡選挙区(定数2)の立候補予定者が支持者の掘り起こしに苦慮している。8町村のうち5町村で全域避難が続き、解除された3町村も帰還が進んでいない。原発事故直後の選挙から4年。この間、住民は避難所からプレハブ仮設へ、そこから多くは新居などへと移り、有権者の姿が見えにくくなっている。(福島総局・桐生薫子)

◎仮設から転居 音信不通も

 思わず弱音が漏れた。「前回は仮設住宅で訴えればよかった。今は皆さんがどこに住んでいるのか全く分からない」
 4選を目指す自民現職の吉田栄光さん(51)は10月19日、東京都江東区の国家公務員宿舎「東雲(しののめ)住宅」近くで集会を開いた。
 東雲住宅には双葉郡などからの避難者約1000人が暮らす。集まったのは地盤とする浪江町の住民ら14人。「声掛けして1人でも来てくれただけで十分」。成果を強調したが、入居者の1%にも満たない。住宅は選挙絡みの立ち入りも禁止されていて、もどかしさが募った。
 集会を終え、事務所を置くいわき市に戻る車中、常磐自動車道沿線に住む避難者に電話をかけ続けた。ようやくつながった1人から住所を聞き、高速道を下りた。
 「遠いどごよく来てくれたなあ」。古くからの支持者でつくば市に住む男性が道ばたで待っていてくれた。「顔を見られただけでも安心するよ」。吉田さんの顔がほころんだ。
 民主新人の橋本徹さん(39)は10月23日、党支持者の男性といわき市南部の新興住宅地を歩いた。周辺には避難者が新築した一戸建て住宅が30戸ほど立つ。「こっちは大熊の人、あっちが双葉の人」。男性の先導で頭を下げて回った。「避難生活大変でしたね。よろしくお願いします」
 橋本さんは楢葉町出身で、地元新聞社の記者だった。取材経験で双葉郡の住民が散り散りになっているのは分かっているつもりだったが、困惑を隠せない。「これほど姿が見えないとは…。想像以上だ」
 30戸のうち3世帯しか残っていなかった仮設住宅があった。地元選出の元国会議員の後援会名簿を使って送ったリーフレットは2割が宛先不明で戻ってきた。
 「えっ、選挙あるの?」。ようやく会えた支持者から、そう聞かれたことが何回かあった。「避難者は毎日の生活に追われ、政治に関心を持てなくなっているのかもしれない」。反応の薄さに危機感を抱く。
 双葉郡選挙区の有権者は9月1日現在、5万5092人。立候補を表明したのは2人のみで、無投票が濃厚になっている。


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2015年11月04日水曜日

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