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仮設入居期限迫る 家賃負担懸念で転居進まず

仮設住宅からの転居を相談する被災者ら=10月24日、仙台市青葉区のエル・パーク仙台

 東日本大震災の仮設住宅の入居期限が来春に迫った一部の被災自治体で、民間賃貸住宅(民賃)への転居が進んでいない。家賃負担が生じることなどから早期の退去に二の足を踏む被災者もいるためだ。転居が来春に集中するとの予想もあり、支援に当たる関係者は「物件の争奪戦になりかねない」と懸念している。(若林雅人)

<条件に合わず>
 仙台市は10月24日、民賃への転居を検討している仮設入居者向けの相談会を初めて開いた。多くの仮設住宅で来年4〜6月に入居期限を控えており、「余裕を持って準備をしてもらうため、約半年前のタイミングを選んだ」(生活再建推進室)という。
 若林区のプレハブ仮設住宅で1人暮らしの女性(70)は近隣のアパート数件を紹介された。「古かったり家賃が高かったりと、なかなか条件に合わない。(家賃負担のない)仮設住宅にぎりぎりまで居たい気持ちはある」と話した。
 市は4月から、物件探しの相談に応じる支援事業を一般社団法人パーソナルサポートセンター(PSC、青葉区)に委託している。9月末までに相談のあった86件のうち、転居が決定したのは10件にとどまる。
 宮城県も9月、物件や不動産業者の情報を提供するコールセンターを開設。同月末までの相談は1カ月で42件と、1日当たり約20件の想定を大きく下回った。県震災援護室の担当者は「退去期限が迫ってから動く被災者が多いだろう」とみている。

<減少率が鈍る>
 動きの鈍さは仮設入居者の減り方と表裏一体の関係にある。仙台市の仮設入居世帯数の前月比減少率はグラフの通り。
 本年度に入居が始まった市内の災害公営住宅26団地のうち、4月の入居スタートが13団地と半数を占めた。退去期間は鍵の引き渡しから1カ月以内とされているため、4〜5月に退去が進み、6月の減少率が大きく伸びた。その後は、特にみなし仮設で退去のペースが落ちている。
 仙台市と隣接する多賀城市も同様の課題を抱える。仮設入居約900世帯のうち、約400世帯が民賃への転居を計画。市生活再建室の担当者は「物件探しに火が付きすぎる(一定時期に殺到する)と考える余裕を失う」と懸念する。
 物件数自体が不足気味との指摘もある。県宅地建物取引業協会によると、震災以降、特に沿岸部の被災地で空き物件の登録数が減っている。
 PSCの「住まいと暮らしの再建サポートセンター」の平井知則センター長は「物件が少なくなる時期に探すと選択の幅が狭まる。転居先が『ついのすみか』になる人は多いだけに、納得できる部屋に住んでもらいたい」と早めの準備を呼び掛けている。


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2015年11月07日土曜日

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