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除染後の農地を大型雑草が占拠 復興の障害に

除染された後の水田に繁茂する雑草=10月31日、福島県飯舘村関根松塚

 除染作業を終えた東京電力福島第1原発事故被災地の農地で、雑草の繁茂が農業再生への新たな障害になってきた。除染後に長く放置されるほど、本来農地にない大型雑草が茂り、種でさらに増え、個人では対処が困難になる。イノシシの生息領域にもなり、福島県飯舘村を視察した専門家は「行政が本格的な対策を急ぐべきだ」と指摘する。

<まるで原野>
 環境省の除染情報によると、飯舘村で除染対象の農地は約1700ヘクタール。今春から作業が本格化し、これまで44%が終わっている。
 農地は、深さ5センチまでの土をはぎ取り、山砂などを客土した後、土壌改良材や基本の肥料を入れる地力回復工事を経て所有者に返される。水田では除染後すぐに水を張り、草が生えない管理をしながら、土づくりをし直す必要がある。
 だが、飯舘村では住民が村外に避難中。稲など作物の栽培試験やイチゴのハウス栽培が行われている一部を除き、除染後の農地の多くが放置されて、夏の間に雑草が広がった状態だ。
 視察したのは宇都宮大雑草と里山の科学教育センターの小笠原勝教授(農学)。関根松塚地区では、除染が終わった約60ヘクタールの水田に背の高い雑草が伸び、原野のような風景になっている。
 「除染後の農地で問題なのは、長く放置されるとセイタカアワダチソウやススキなどの大型雑草、柳などが生えること。水田や畑の雑草より強く、根も深く強力で、抜き取っても再生する。年々広がれば、手がつけられなくなる」と話す。

<駆除に限界>
 政府は6月、原発事故被災地で「2017年3月までに避難指示を解除する」と決定した。同村内で帰還したい意向の住民は約3割いるが、風評を恐れて営農再開を諦めている人が多く、どれだけの農地が再び利用されるかは未知数だ。
 「個人で雑草に対処するのは不可能だ。無線操縦ヘリによる除草剤散布で全村的に駆除する方法が現実的だが、費用(1ヘクタール当たり4万円)と地区レベルの管理継続が必要になり、限られた帰還者だけでは限界。行政が取り組むしかない」と小笠原教授は指摘する。
 村内では、住民が不在の間にイノシシも増え、農地を掘り起こす被害が多発している。「雑草を放置して原野に戻せば、イノシシの活動圏もさらに広がる」
 同村では先月、営農再開に向けた第1回検討会議が開かれたが、雑草の問題は取り上げられていない。


2015年11月10日火曜日

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