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<ツタヤ図書館>評価基準 構築これから

図書館の37年を振り返る展示を来場者に紹介する照井室長(左)=多賀城市立図書館

◎知の拠点 多賀城に来春開館(下)チェック体制

 宮城県多賀城市伝上山にある現在の市立図書館は、来年3月にJR仙石線多賀城駅前に完成する再開発ビルへの移転準備のため、29日で閉館する。閉館を前に、1978年の開館からの歩みを写真などで振り返る企画展示が行われている。
 レンタル大手TSUTAYA(ツタヤ)の運営会社「カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)」が指定管理者となる新図書館の館長に就任予定の照井咲子CCC市立図書館準備室長(61)は、利用者から寄せられた思い出のメッセージに触れ、「図書館への愛情が伝わる。期待に応えたい」と気を引き締める。

<雰囲気様変わり>
 CCCが運営することによって、図書館はどう変わるのか。現新図書館の主な比較は表の通り。年中無休で開館時間が延長、蔵書は全て開架式となり、利用空間が広がることで座席は大幅に増える。書店やコーヒーショップが併設され、雰囲気は一変する。
 一方、人件費を含めた市が負担する運営費は、上限を設けたとはいえ、現状の2倍以上に増える。
 多賀城市の鈴木明広副市長は「年中無休でイベントも多く開催するなど時間単価で見れば直営よりも安い」と民間委託の利点を強調。「多くの市民に利用してもらうためのサービスを提供するのに必要な支出だ」と説明する。

<3万冊超購入へ>
 現在の図書館は、蔵書が小説や児童書で全体の7割を占める「貸し出し型」。「滞在型」を目指す新図書館は、専門書を中心に当面、約3万5000冊を新規購入する方針だ。
 新図書館開館に先立ち市は4月、窓口、移転業務をCCCに委託し、26人の司書が現在、新規購入図書の候補選定も進めている。
 「限られた予算で多くの資料が入手できる」(市生涯学習課)としてCCC指定の古書店からも購入するが、先例の佐賀県武雄市などでは、古くて役に立たない資格本も含まれていたことなどが問題となった。
 CCCは「一冊一冊、購入理由を説明できる本を並べる」と言うが、公共性を維持しながら民間の独自運営をチェックする仕組みは、現状では明確ではない。課題として残ったままだ。
 多賀城の図書館にほぼ毎日訪れるという塩釜市の建築業安倍徹さん(66)は「年中無休で開館時間が延びるのは歓迎。CCCの不手際は確かにあるが、良いものならば、利用者が評価し必ず残るはずだ」と言う。

<成長へ道筋探る>
 利用者の評価の反映についても、既存の図書館運営協議会はあるが、形骸化を指摘する専門家は少なくない。
 「利用者とスタッフで共に育てたい。図書館が成長すれば、まちも成長する」。元多賀城小校長で多賀城市立図書館協議会長も務めた照井室長は、手探りしながら、そう確信している。

[図書館協議会]図書館法の規定に基づき、地方公共団体が設置する図書館の運営について、有識者に運営や提供するサービスを検討してもらったり、意見を求めたりする館長の諮問機関。メンバーは教育委員会が学校教育や社会教育の関係者から任命する。


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2015年11月11日水曜日

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