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<あけぼの>滞在型観光「夜明け期待」

宿泊営業を始めたB寝台個室

 秋田県小坂町の体験型観光施設「小坂鉄道レールパーク」で10月30日、寝台特急「あけぼの」の車両を活用した宿泊施設の営業が始まった。鉱山で栄えた人口約5500の町には国重要文化財の芝居小屋「康楽館」などの観光資源がある一方で、宿泊施設は1軒しかなかった。町は「あけぼの」を滞在型観光の拠点にしたい考えだが、来春の本格開業へ向け、知名度の向上をはじめ課題もある。(秋田総局・藤沢和久)

<紆余曲折の開業>
 今月2日夕、4両編成の「あけぼの」が旧小坂鉄道小坂駅のホームに入ってきた。宿泊施設でありながら、実際に列車を動かすことができるのは全国でもここだけだ。
 町は今春、2014年3月まで上野−青森間を走った寝台特急「あけぼの」の電源車1両と寝台車3両を購入した。費用は整備代なども含めて約5000万円。B寝台個室1両(28室)のみを使って11月末まで営業し、来春には床面積が広いA寝台個室(11室)を加えて本格開業する。
 「あけぼの」の開業をめぐっては紆余(うよ)曲折があった。8月の臨時町議会で関連予算が否決され、9月の町議会で可決された。町は年内の開業を断念しかけたが、駆け足で何とか間に合わせた。

<好調は土曜だけ>
 宣伝などの準備不足は予約状況にも表れている。営業する土、日、祝日とその前日のうち、土曜こそ20室前後と好調だが、他は平均5室程度にとどまる。
 また、レールパーク内に飲食店はなく、夕食は徒歩で5〜10分の飲食店街に出向かなければならない。
 町観光産業課の近藤肇課長は「今は来年に向けた情報発信期間」と集客面で苦戦していることを認めた上で、「宿泊客に町内に出掛けてもらうことで町の活性化につなげたい」と話す。チェックイン時に飲食店マップを配布するほか、トンカツを載せた名物の「カツラーメン」を紹介するチラシを置くなどしている。
 2日の宿泊客は記者を含め4組7人。大館市の病院職員長門浩美さん(55)は「子どもたちにどうしても寝台列車を経験させたかった」と家族4人で訪れた。長男の中学2年正悟君(14)は「思ったよりも広くて快適」と目を輝かせた。
 寝台車のうち1両は乗客が交流するフリースペース場として使っている。2日夜は5人が集まった。「町が鉱山で栄えたころの話を聞きたい」「地元の『おふくろの味』を朝食で出してくれる店があれば」。話は深夜まで続いた。
 そうした利用者の意見に対して、近藤課長は「町民に昔の町のことを語ってもらうのは催しとしてできそうだ」と、実現へ向けて前向きな姿勢を示す。

<セット商品検討>
 町は「あけぼの」を拠点に、康楽館、小坂鉱山事務所、十和田湖などを周遊してもらう青写真を描く。そのためには、鉄道ファンだけでなく、広く「あけぼの」に泊まってもらうための仕掛けがもっと必要だ。
 レールパークの鈴木二朗副園長(51)は「修学旅行の受け入れや家族連れ対象の自然ガイドツアーなど、『あけぼの』の宿泊とセットにした商品も考えたい」と話す。レールパーク内には約600メートルの線路があり、宿泊客を乗せて動かすことも検討している。
[メモ]宿泊施設の名称は「BlueTrainn(ブルートレイン)あけぼの」。来春からは最大50人が宿泊可能。料金はB個室が1泊大人3240円、小中学生2160円。A個室は1泊大人4320円、小中学生3240円。旧駅舎内にシャワーがある。連絡先は小坂鉄道レールパーク0186(29)3890。


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2015年11月16日月曜日

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