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<最終処分場>政府リーダーシップなしと批判

年内の調査着手断念を伝える井上環境副大臣=19日午後5時30分ごろ、宮城県庁

 普段は笑顔が武器の知事が怒った。「子どもの言い訳じゃない」。宮城県内への指定廃棄物最終処分場建設をめぐり、現地調査の年内着手断念を伝えに宮城県庁を訪れた井上信治環境副大臣に、抗議した村井嘉浩知事は珍しく声を荒らげた。候補地3市町の首長や住民からは怒りや失望、候補地の返上を強く求める声が上がった。

 「政治がリーダーシップを発揮しないから、こうなった。大臣が住民に頭を下げて初めて熱意が伝わるのに、望月義夫前環境相からは何の連絡もなく、今の丸川珠代環境相は福島に来たのに宮城には来ない」
 村井知事は新旧大臣を名指しして環境省の姿勢を痛烈に批判した。井上氏は、うなだれるしかなかった。
 昨年8月の市町村長会議で村井知事が調査受け入れを表明して1年3カ月。環境省は昨年の今頃も、加美町の反対で調査に着手できず越年させた。
 「雪解け後すぐにも着手したい」(望月氏)としながら、実際に動いたのは8月末になってから。10月には同町田代岳への調査入りを連日試みたが、タイムリミットまで間がないのは誰の目にも明白だった。
 村井知事は、沖縄県の米軍普天間基地の移設問題をめぐる国の姿勢を引き合いに出し「沖縄で政府は頑張っている。政府が責任を持って住民の理解を得る努力をしなければ、こうした問題は解決しない」と井上氏に迫った。
 会談後、報道各社の「沖縄のように強制的にでもやれという意味か」との問いには「沖縄は全県民が反対でもやっているのに、宮城は住民が反対するからやらないでは、政府として矛盾しているということを突いた」といら立ちを見せた。
 2年連続の越年に、調査の受け入れは認めてきた2候補地の首長も憤りをあらわにした。佐藤勇栗原市長は「環境省は指定廃棄物を抱える自治体の苦悩を分かっていない。市町村長会議で候補地を返上する」と表明し、息巻いた。浅野元・大和町長は「市町村長会議開催を働き掛ける」とのコメントを出した。
 これに対し、調査受け入れ反対を貫く猪股洋文加美町長は「環境省は候補地を白紙撤回し、実現可能な解決策を探るべきだ。現在の分散保管が現実的だ」と従来の考えを強調した。
 田代岳の現場近くで環境省の調査入りを阻止してきた住民団体代表の高橋福継さん(73)は「他の場所を選ぶか、他の解決策を考えるか。時間をかけて話し合ってほしい」と要望した。


2015年11月20日金曜日

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