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<汚染牧草>浪江町長、白石市に抗議

佐々木副市長(左)に抗議文を手渡す馬場町長

 東京電力福島第1原発事故で発生した放射性物質を含む汚染牧草をめぐり、福島県浪江町は20日、町内の牧場に牧草を持ち込んだ白石市に正式に抗議した。これに対し受け入れた牧場側は、各市町村に牧草提供を認めるよう宮城県に要請。原発事故から4年半を経てなお、汚染牧草が被災地の重荷となっている実態が浮き彫りとなった。
 福島県浪江町の馬場有町長は20日、放射性物質を含む牧草を被ばく牛の餌として「希望の牧場・ふくしま」(福島県浪江町、南相馬市)に市の事業として運んだ白石市を訪れ、「他自治体から汚染廃棄物の搬入誘発につながる恐れがある」などと抗議した。
 抗議文は「町民の帰還意欲の低下を招き、町や福島県全体への風評など深刻な影響が懸念される」と指摘。「同じ東日本大震災と原子力災害を被った自治体として、著しく配慮を欠いた行為」と批判した。
 白石市役所で非公開の関係者による意見交換が約40分間行われた。国と東電に原発事故の責任があるとの認識は一致したが、汚染牧草を「飼料」とみなす白石市、「放射性廃棄物」と訴える浪江町の主張は平行線をたどったという。
 終了後、馬場町長は「白石市から事前の通告も相談もなく、大変遺憾。他の自治体から浪江町で受け入れたと思われると残念だ」と述べた。対応した佐々木徹副市長は「われわれの行動は違法ではない。人道的、動物愛護の観点から決断した」と話した。
 市は14日、畜産農家が保管する1キログラム当たり8000ベクレル以下の牧草ロール全量(835個、約260トン)の運搬を終えた。事業費は約1400万円。
[希望の牧場・ふくしま]福島第1原発から約14キロ北西の避難地域にある牧場。広さ約30ヘクタール。震災後、吉沢正巳さんらが一般社団法人を設立し運営する。国の殺処分命令を拒否した畜産農家の被ばく牛330頭を「原発事故の生き証人」として調査研究目的で飼育する。食用出荷はできないため、餌代など運営資金は募金などで賄っている。


2015年11月21日土曜日


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