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<最終処分場>「福島集約論」再燃の恐れ

楢葉町にある最終処分場の搬入口。地元行政区が反対の看板やのぼり旗を立てている=2日

 福島県が東京電力福島第1原発事故で発生した指定廃棄物の最終処分場を受け入れることが2日、事実上決まった。ただこれにより宮城などほか5県の処分場協議が進展するかは不透明だ。大量の指定廃棄物が広域で発生し、処分が県全体の復興に直結する福島と、量や範囲が限られる他県は前提の状況が異なる。国は自治体と真摯(しんし)に向き合い、丁寧な説明を尽くさなければ前進は望めない。
 地元の富岡町と楢葉町が受け入れを了承した背景には、福島第1原発が立地する双葉郡特有の事情がある。大熊、双葉両町が除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設の受け入れを決めており、国は富岡、楢葉両町にも役割分担を求めていた。
 このため議論は「設置場所ありき」で進み、地域の不安は今なお、ぬぐえない。設置場所は避難指示が続く富岡町南部の放射線量が低い地域。搬入路がある楢葉町は9月に避難指示が解除されたばかりで、帰還意欲低下が懸念された。
 住民の多くは復興を進める上で処分場の必要性は認めつつも、「町再生の妨げになる」として町内の高線量地区での新設を要求した。国は「復興加速」を理由に、「別の場所に造る時間も土地もない」と強気の姿勢で押し切った。
 受け入れに対し、富岡町第2次復興計画の策定委員を務めた住民の一人は「どこに造るかが最大の関心なのに、適地選定のプロセスも根拠も示さないまま受け入れに至った。町民を軽んじている」と批判する。
 一方、福島での設置がほぼ固まったことにより、協議が難航する他の自治体で廃棄物の福島集約論が再燃する可能性もある。
 指定廃棄物は放射性物質汚染対処特措法で発生地で処分することが決まっており、他県の廃棄物は持ち込めない。内堀雅雄知事は2日、報道陣に「国が責任を持って対応するという基本方針は変わらない」とあらためてくぎを刺した。


2015年12月03日木曜日

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