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<最終処分場>福島受け入れ 風評憂慮

 福島県と富岡、楢葉両町が4日、東京電力福島第1原発事故で発生した指定廃棄物の最終処分場の受け入れを国に伝えた。環境省は万全の安全対策を講じるとしているが、住民が最も憂慮する問題の一つが風評被害だ。負のイメージによって、将来、地域の活力と誇りが失われることがないよう住民は訴える。
 「全国初というダーティーなイメージが付きかねないと思うと残念だ。一町民として決定を受け止め、復興に向けて粛々と前向きにやっていくしかない」
 いわき市に避難する富岡町の渡辺和則さん(41)は複雑な思いを打ち明ける。
 住民の多くは処分場の必要性を認める。ただ、専用施設ではなく国道から数百メートルしか離れていない産廃処分場を転用する上、周囲には民家や田畑が点在する。復興を進めるはずの施設が逆に地域の活力をそぐ恐れがある。
 搬入路が整備される楢葉町は9月に避難指示が解除されたばかり。近くに水田を持つ佐藤充男さん(71)は「農作物は売れないだろう。今も福島県産というだけで苦戦しており、風評被害対策を取るといってもどれほど効果があるのか」と心配する。
 環境省は町内外への情報発信などを通して、事業への理解と安心を広めたい考えだが、容易ではない。県も風評被害対策などに使える自由度の高い交付金100億円の拠出を決めたが、具体的な使い道は未定だ。
 富岡町は早ければ2017年4月の帰還開始を目指す。町の北側に双葉、大熊両町に建設される中間貯蔵施設、町の南の玄関口に最終処分場ができる。住民の一人は「報道のたびに風評被害が生まれないかと心配だ。偏見のまなざしが地域に向けられないよう、これから国は全力で私たちを守ってほしい」と訴える。


2015年12月05日土曜日

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