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<あなたに伝えたい>農業を再開したよ見守って

一子さんと過ごした日々を思い返しながら農業を続ける更治さん

◎鈴木更治さん(名取市)から一子さんへ

 更治さん 若いころから農業一筋で忙しかったけど、愚痴も言わずによく働いてくれた。震災当日も朝から一緒にビニールハウスでメロンの苗木を作る作業をしていたね。昼食後、俺は仙台の税務署に出掛け、その途中で地震が起きた。
 家に残ったお前は一度仙台空港に避難したのに、何か大切な物を忘れたと言って家に戻ったそうだね。3日後、仙台空港の東側で車に乗ったまま冷たくなって見つかった。
 あまりのショックで涙も出なかった。「何で家に戻ったんだ」って、何度も胸の中で繰り返したよ。
 社交的で明るい性格だった。年寄りから若者まで、誰とでも分け隔てなく付き合った。地域の人たちと一緒にカラオケを楽しむことも多かった。
 農作物の品質にもこだわっていた。特に特産メロン「北釜クイーン」への思い入れは強かったね。土作りや水・温度管理を徹底していたから糖度が高く、収穫期は大勢のお客さんが直接買いに来てくれたっけ。
 あんまり忙しいから、少し栽培量を減らして旅行にでも行こうかと話していた時に震災が起きてしまった。最後まで働き詰めにさせてしまったな。
 お前がいなくなっても農業は諦めなかったよ。地元の仲間と一緒に農業生産法人「名取北釜ファーム」を設立して野菜作りを再開したんだ。いつかまた、北釜クイーンを復活させたい。若い人が夢を持てる農業を実現したい。どうか天国で見守っていてほしい。
(日曜日掲載)

◎社交的で明るい性格誰とでも仲良く

 鈴木一子さん=当時(66)= 震災発生当時、名取市下増田の自宅で夫更治さん(75)、長男隆さん(51)と3人暮らしだった。長年農業に従事し、地域活動にも熱心だった。地震後、仙台空港にいったん避難したが、家に忘れ物を取りに戻って津波にのまれた。


2015年12月06日日曜日

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