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<東通原発10年>再稼働の道筋見えず岐路に

長期停止が続く東北電力東通原発。高さ3メートル(海抜16メートル)の防潮堤など、新規性基準に基づく安全対策工事が進む=2012年10月

 東北電力東通原発(青森県東通村)が8日、2005年の営業運転開始から10年を迎えた。東日本大震災以降の長期停止で実働は5年余り。東北電が17年4月以降を目指す再稼働は、敷地内断層をめぐる議論の長期化で道筋が見えない。原子力規制委員会は活断層の存在を前提とした審査を示唆しており、東北電は徹底抗戦か戦略転換かの岐路に立たされている。(報道部・村上浩康)
 11月27日、1年4カ月ぶりに開かれた新規制基準適合性審査会合。規制委側出席者からは東北電への厳しい発言が相次いだ。
 「変形が見られる断層は、大体全て活動性があると評価せざるを得ない」。事務局の原子力規制庁の担当者が説明すると、東北電の出席者はこわばった表情を見せた。
 東通原発敷地を南北に走る断層「F−3」と「F−9」について、規制委の有識者調査団が3月、両断層を活断層と認定する評価書をまとめていた。2年以上に及んだ調査団の会合で、東北電は一貫して活動性を否定。この日はデータを追加し議論を仕切り直そうとしたが、完全に機先を制された。規制庁の担当者は「評価書をスタートにしたいというメッセージだった」と振り返った。
 F−3、F−9の活動性の議論に早々に決着をつけようとした規制委には、原子炉など重要施設直下の「f−1」「f−2」といった断層の議論に時間をかけたいとの狙いがあった。
 直下の断層は活動性が認められれば廃炉に直結する極めて重要な問題。有識者調査団はデータ不足を理由にf−1などの活動性の判断を避けており、規制委は慎重な判断が求められる。
 一方、東北電にとってはF−3、F−9をめぐる議論がまず重要だ。活断層となれば、基準地震動(最大想定の揺れ)の見直し、耐震補強の追加工事につながる。女川原発(宮城県女川町、石巻市)と合わせ三千数百億円に上る安全対策費が増大し、再稼働工程の再延期を招きかねない。
 規制庁の担当者は「F−3などの活動性を争うなら審査に時間はかかる。一番重要な直下の断層の議論を進めるか、遠回りするかは東北電の戦略次第だ」と言う。東北電の笹川稔郎副社長は「納得できる解釈があればその段階から考える」と述べるにとどめた。


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2015年12月08日火曜日

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