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<難航 核のごみ>地層処分 なお慎重論

地中に坑道が張り巡らされた最終処分場のイメージ図。右下は金属製容器などで覆われた核のごみの拡大図(NUMO提供)

◎最終処分政策を検証(中)リスク

<不安訴える声>
 「地震が多い日本に、最終処分が可能な地域は存在しないのではないか」
 「地下水が豊富な日本で処分はできるのか」
 経済産業省が10月、東京など9カ所で開いた高レベル放射性廃棄物(核のごみ)最終処分のシンポジウム。参加者から寄せられた意見には、核のごみの的確な処分に不安を訴える内容が目立った。
 経産省は11月下旬、最終処分事業を検討する有識者会合を開き、主な意見を報告した。担当者は「漠然とした不安は国民の間に引き続き存在し、理解が十分に広がったとは言い難い」と説明。会合では、科学的安全性などを重点的に発信していく方向性を確認した。
 核のごみを数万年にわたって地下深くに「地層処分」する政策は、2000年施行の特定放射性廃棄物最終処分法に基づく。技術的な根拠は、1999年に核燃料サイクル開発機構(現日本原子力研究開発機構)がまとめた研究成果だ。
 地層処分について、地質環境や工学技術、安全管理などの観点から検証。「研究開発によって信頼性ある技術基盤が整備された」と結論付けた。
 研究は今も原子力機構の深地層研究センター(北海道幌延町)などで継続中だが、目的はあくまで技術の信頼性の向上だ。

<地下水で腐食>
 ただ「想定外」が相次いだ東日本大震災で露呈したのは科学の限界だった。経産省は震災後の13年に有識者会合を設け、地層処分の実現性を確認したものの、確実性には慎重な見方を崩さない専門家もいる。
 日本学術会議の連携会員として、地層処分の技術課題を検証した千木良(ちぎら)雅弘京都大教授は「多くの研究がなされたのは事実だが、あえて不確実性を直視する必要がある」と強調する。
 課題の一つが、地下水の影響をどう評価するか。地層処分では、地下水によって核のごみを覆う金属製容器が腐食し、放射性物質が漏れ出るリスクがある。
 「仮に全容器の機能が失われても、地上に放射性物質が出るまでに放射能は安全レベルまで下がる」。最終処分事業を担う原子力発電環境整備機構(NUMO)はそんな解析結果を公表している。これに対し千木良教授は「地下水リスクの評価では、岩盤内の割れ目の分布などを広く把握することが不可欠。物理探査技術の高度化も欠かせない」と研究を深める必要性を指摘する。

<止まらぬ湧水>
 自然災害が思わぬ事態を引き起こす可能性も見過ごせない。11年4月11日、いわき市を震源にマグニチュード7.0の地震が起き、市内のアパートの下や旧炭坑の通気孔から温泉が湧き出した。地震に伴う地下水変化は通常1年ほどで元に戻るが、市内では4年半以上たった今も湧水が続く。
 調査した産業技術総合研究所の風早康平深部流体研究グループ長は「非常に珍しい現象。原因はまだ特定しきれていない」と言う。
 この事例は経産省の有識者会議が13年にまとめた報告書でも、引き続き情報を収集するケースとされた。地層処分をめぐり科学の不確実性を検証する作業はいまだ途上にある。


2015年12月10日木曜日

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