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<震災>精神科、災害医療の盲点

 東日本大震災では通信の乱れや交通網の寸断などから被害状況が伝わりにくく、孤立した精神科病院が食料や医薬品の確保、入院患者の転院調整などで自助努力を迫られた例があった。
 「震災直後、民間の精神科は自力で何とかしてほしいというのが行政の対応だった。公的病院との支援面での格差を痛感した」。宮城県精神科病院協会の沼田周一事務局長が漏らすように、精神科病院への公的支援の薄さを感じた関係者は少なくない。
 東北大大学院医学系研究科の松本和紀准教授(精神医学)は「精神医療が行政の災害医療体制から漏れていたことと、公立病院が民間よりも優先されたこと。二重の問題があった」と指摘する。
 行政で精神医療を所管するのは障害福祉関連の部署だ。厚生労働省では一般医療を医政局、精神科医療を社会・援護局障害保健福祉部が担当する。
 精神疾患と身体疾患の合併症などがある患者は特別な管理が必要な場合もあり、移送の調整には一般医療との連携が欠かせない。
 厚労省は10月、精神医療と一般医療との連携や、災害派遣精神医療チーム(DPAT)の体制整備を進めようと、医政局に「精神科医療等対策室」を新設した。
 宮城県は、震災時に精神医療を十分に調整できなかった教訓を踏まえ、災害医療本部で活動する災害医療コーディネーターの業務に精神科入院患者の移送先の調整を加えた。精神科医師への初のコーディネーター委嘱も検討している。
 松本准教授は「災害時の精神科救急体制を確立するため、災害拠点病院を含めた一般医療との連携や、平時からの情報網の整備が重要だ」と話す。


2015年12月12日土曜日

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