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<話そう原発>民主主義が機能せず

黒川清(くろかわ・きよし)東大医学部卒。カリフォルニア大医学部内科教授、東海大医学部長、日本学術会議会長、内閣特別顧問などを経て14年11月から政策研究大学院大学客員教授。79歳。東京都出身。

 東京電力福島第1原発事故から4年9カ月余り。未曽有の事故から教訓は学べているのか。国会事故調査委員会の委員長を務めた黒川清・政策研究大学院大学客員教授に聞いた。

<規制のとりこ>
 −国会事故調が明らかにしたのは。
 「報告書は原発の技術についてではなく、もっと根っこの部分、日本人のマインドの問題を明らかにした。世界でも例外的なタテ社会、部分最適に陥りがちな社会の力学。それを助長する日本人共通の『思い込み』(マインドセット)が事故の背景にあったのではないかと問い掛けた」
 「責任ある立場の人たちが責任を果たさず、規制する側がされる側に操られる『規制のとりこ』に陥っていた。責任回避を最優先し、失敗から学ぼうとしない思考と行動が明らかになり、事故の根底は『人災』だと判断した」

 −福島の高校生らが報告書を基に考え始めた。
 「原発事故を引き起こした『責任ある立場』の人たちと対極にいる。わかりやすいプロジェクトは目覚めた若者たちの活動。原発事故に象徴される『今まで』を作ったわれわれの世代は、世界と共に歩む彼らの未来を支援しなければならない」

<企業体質同じ>
 −国会事故調は立法、行政、司法の三権がそれぞれ独立した統治機構として機能していないと指摘した。
 「立法府が行政府をチェックできておらず、民主主義が機能していない。海外では当たり前なのに、日本の立法府が独立委員会を作ったのは国会事故調が憲政史上初だった。民主主義は与えられるものではなく、自分たちでつくっていくという認識が必要だ」

 −原発事故後も社会が変わらないのはなぜか。
 「オリンパスの損失隠しや東芝の不正経理の背景には、東京電力が陥った企業体質と同じ部分がある。国会事故調が指摘した組織の問題から教訓を得ていない。日本のマスコミもそれを追及しない。マスコミ自身が同じ企業体質だからだ。だから何も変わらない」


2015年12月18日金曜日

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