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震災で姉とお別れ サンタに託した少女の願い

大好きだった姉愛梨ちゃんの人形(右)を見つめる珠莉ちゃん
珠莉ちゃんがサンタクロースに宛てて書いた手紙

 東日本大震災で当時6歳だった仲の良い姉を亡くした石巻市の小学2年佐藤珠莉(じゅり)ちゃん(8)が、2人の人形を「世界旅行させてください」と願う手紙をサンタクロース宛てに書いた。いつか海外に行くことを夢見ていた姉と自分の代わりに人形が世界中を旅できるようにと、クリスマスの奇跡を信じている。
 「あいり姉ちゃんとたくさんりょこうしたかったので、わたしのゆめをかなえてください。たびをしたときの人形のしゃしんをいっぱいとってきて、きねんにほしいです」
 珠莉ちゃんの姉愛梨ちゃんは石巻市の私立日和幼稚園に通い、震災後に幼稚園の送迎バスで自宅に帰される途中、津波と火災に巻き込まれて命を落とした。
 当時3歳の珠莉ちゃんはいつも一緒に遊んだ姉を突然失い、喪失感を抱えたまま成長した。クリスマスや七夕などのたびに帰ってくるよう願ったが、かなわなかった。
 昨年夏、珠莉ちゃんはあるテレビ番組にくぎ付けになった。病気の子に似せた人形を世界中を旅する人々に持ち歩いてもらい、名所を背景に写真を撮ってもらう企画。番組では後日、その子にたくさんの写真が届いた。「愛梨もこうしてもらえないかな」
 その年のサンタへの手紙で、姉妹の人形をお願いした。母美香さん(40)が復興支援団体を通じて人形を作れる人に製作を頼み、クリスマスに姉妹に似た編みぐるみが届いた。珠莉ちゃんは大喜びでお礼の手紙を書き、ことしは人形の世界旅行の願いをつづった。
 父文貴さん(43)が家族旅行を計画し、美香さんが人形も持って行くことを提案したが「サンタさんに連れて行ってもらう」と珠莉ちゃん。美香さんは「姉と自分を人形に投影し、自分の中に2人の世界があるのでしょう」と推測する。
 愛梨ちゃんの死後、事態の真相究明に奔走する両親を珠莉ちゃんはおとなしく見守った。美香さんは「甘えたい盛りに我慢ばかりさせた」と悔やみ、「姉に対する思いの深さは親も驚くほど。サンタの存在を信じる純粋な心を大切にしてあげたい」と思いやる。
 両親は、海外に行く用事があり「人形を持って行ってもいい」と申し出てくれる人がいれば、サンタの代役をお願いしてみようかと考えている。


2015年12月19日土曜日


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