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<5度目の年の瀬>すくすく五歳の浜娘

もろみが入った直径、深さとも約2メートルのタンク内を櫂棒(かいぼう)でかき混ぜる。温度や濃さを均一にして熟成を促す=盛岡市北飯岡

 被災地は震災から5度目の年の瀬を迎えた。復興を願う人々は新年を前に何を思うのか。各地の暮らしや営み、風景を追う。

◎2015被災地(1)新酒の仕込み(盛岡市)

 真新しいタンクに、伝統の酵母が息づく。
 東日本大震災で酒蔵が被災した岩手県大槌町の赤武酒造は2013年、盛岡市に新工場を構えた。真冬を迎え、大槌の地酒「浜娘」の仕込みが続く。
 震災で大槌の蔵は全壊。一度は廃業を決めた。「浜娘を早く飲みたい」。得意先の励ましに心が動き、再開を決意した。11年と翌年は盛岡の酒蔵で仕込んだ。
 「復活蔵」。新工場はこう名付けた。復興へ歩む意志を込めて。
 古舘秀峰社長(50)は20〜30代の社員7人に勘所を教えながら、酒造りに打ち込む。酒のラベルには震災からの年数を記す。ことしの新酒は「五歳」だ。
 昨年、酒造りの中心となる杜氏(とうじ)を長男の龍之介さん(23)に譲った。古舘社長は「わが子のような五歳の浜娘。年齢を重ねるたびに、おいしくなってほしいね」と目を細めた。


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2015年12月21日月曜日

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