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<回顧みやぎ>祝福ムードから程遠く

「笑顔なき」医学部新設決定記者会見=8月27日

◎(8)東北薬科大に医学部新設

<そのとき>
 「全然笑わないんですよね」。同行した写真部記者が、ぼやくこと。
 医学部新設が事実上決まった8月27日、記者会見は東北薬科大(仙台市青葉区)にとって晴れの舞台になるはずだった。それなのに…。
 理事長の高柳元明さん(67)をはじめとする大学関係者は終始、硬い表情を崩さなかった。
 十分に予想されたことではある。日本医師会と全国医学部長病院長会議は、最後まで医学部新設に反対。宮城を除く東北5県のまなざしも冷ややか。少なくとももろ手を挙げて祝福する雰囲気は、あまりない。
 ぶしつけな質問に高柳さんが語気を強める場面もあった。「第2東北大医学部という指摘は全く当たらない。性質が全く違う。研究の方向ではなく、地域医療に活躍する人材を育成していく」
 東北大との近さは、当初から指摘されてきたところだ。新医学部の難しい立ち位置が透けて見えた。

<それから>
 新医学部には幾つかの「留意事項」が課せられている。その一つ「大学病院本院の質の確保」にかかわる不祥事が11月、発覚した。
 東北薬科大病院(宮城野区)が全従業員約700人分の残業代を適正に支払っていないとして、仙台労働基準監督署に是正勧告を受けていた。
 薬科大病院は来年度、新医学部の付属病院になる。取材に病院事務局長は「大学病院として模範にならなければならない。襟を正す」と反省しきりだった。
 秋以降、東北各地や東京で開かれた新医学部の進学説明会には、多くの受験生や保護者が詰め掛けた。何といっても学費負担が国公立大並みに抑えられる修学資金制度が最大の魅力だ。
 大手予備校の調査によると、受験偏差値は新設ながら私大医学部の上位をうかがう。合格者に占める東北出身者の割合が気になるところだ。
 受験は来年2月1日。面接を経て同19日には1期生が誕生する。マフラーが外れ装いが軽やかになるころ、東北の医療復興を託された医学生たちが、続々仙台へやってくる。(報道部・野内貴史)

[メモ]文部科学省の大学設置・学校法人審議会は8月27日、東北薬科大申請の医学部新設を認可するよう答申。東日本大震災からの東北復興を支援する特例として1979年の琉球大(沖縄県)以来、37年ぶりの新設が決まった。1学年の定員は100人。東北6県に実習先となる19の地域医療ネットワーク病院を配置。薬科大は来年4月、医学部開設と同時に「東北医科薬科大」に改称する。


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2015年12月26日土曜日

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