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<5度目の年の瀬>変わらぬ味覚 食卓へ

日差しを浴びて輝く仙台セリ。昔から変わらぬ収穫風景だ=名取市下余田

◎2015年被災地(7)セリの収穫(名取市)

 鮮やかな緑が水面に映える。名取市下余田で地元特産「仙台セリ」の収穫作業が最盛期を迎えている。
 腰まで水に漬かり、30〜40センチに伸びたセリを3〜4把ずつ収穫する。「茎が折れないよう、水に浮かせるように優しく持ち上げるのがこつ」とセリ農家大内繁徳さん(52)が言う。
 名取のセリ栽培は江戸時代初期に始まり、約400年の歴史がある。現在は下余田と上余田で2組合、計約60軒の農家が栽培する。
 シャキシャキとした歯触りと香りの良さを支えているのは清らかで豊富な地下水だ。地中からくみ上げる水の温度は年間を通じて10〜13度に保たれ、安定した生育を可能にする。
 東日本大震災時は沿岸部の排水設備が津波で壊れたため下流に水を流せず、セリの洗浄ができなかった。組合は苦しみながら栽培を続け少しずつ出荷量を回復した。
 その年末、仮設住宅にセリを配った。住民の声で苦労が吹き飛んだ。「雑煮にはやっぱり仙台セリが欠かせない。ありがとう」
 近づく正月も、変わらぬ味で食卓を彩る。


2015年12月27日日曜日

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