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コーヒーで被災地を元気に

稼働を開始した小さな焙煎工場でコーヒー豆の選別をする小沢さん
稼働を開始した小さなコーヒー焙煎工場。後方は震災の復旧工事で内陸移設されるJR常磐線の高架橋=宮城県山元町

 東日本大震災で大きな被害が出た宮城県山元町に、従業員たった一人の小さなコーヒー焙煎(ばいせん)工場が稼働している。東京のNPO法人「高麗(こうま)」(高麗恵子代表)が東北各地で取り組む被災地支援の一環として開設。エチオピア産豆の深みのある味わいで、じわじわ人気を広げる。将来的には事業を拡大して被災地の雇用を増やし、復興を加速化させる大きな夢を描く。

 工場は10月にオープン。被災農家が同町山寺に設立した農業生産法人「山元いちご農園」の敷地内にある。特産のイチゴの大型栽培ハウスが立ち並ぶ脇に、広さ6畳ほどの小さなプレハブが立ち、小型の焙煎器や作業スペースがある。
 NPOは2000年ごろから貧困に苦しむエチオピアの支援として、野生のコーヒー豆を輸入、販売する事業を展開している。加工は専門業者に委託していたが、高麗代表が農業による復興に取り組む農園の岩佐隆社長(60)に共鳴。「夢と希望のある仕事づくりを被災地で行いたい」(高麗代表)と敷地内に自前の工場を開いた。
 スタッフは小沢広祐さん(31)のみ。生まれ育った東京から近隣の亘理町に転居して工場に通う。ピアノ音楽が流れる工場内でエチオピアとタンザニア産の良質な豆を丁寧により分け、じっくり焙煎して袋詰めする。営業や販売も一人でこなす。
 小沢さんは「エチオピアではコーヒーが胃腸薬などとして飲まれている。雑味はなく深みがあり、体に染み渡るような味わいが特長」と胸を張る。東北各地の飲食店のほか、町内のケーキ店「プチット・ジョア」で飲むことができる。豆は農園内のカフェで販売している。
 高麗代表は「工場を東北の新たな拠点と位置付けている。ゆくゆくは工場の規模を拡大し、未来への希望がある雇用の場をつくりたい」と話す。岩佐社長も「両法人が手を携えることが復興につながると思う。いずれはコーヒーとイチゴのコラボ商品を開発できたら面白い」と協力を惜しまない。


2015年12月27日日曜日


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