岩手のニュース

<5度目の年の瀬>津波の爪痕 祈りの場

解体か、保存か。周囲で復興事業が進む中、旧役場庁舎をめぐる議論は続く=岩手県大槌町

◎2015被災地(8)旧役場庁舎(岩手県大槌町)

 あちこちで重機の音が響く。東日本大震災の被害が甚大だった岩手県大槌町の中心部。当時の町長と職員計40人が犠牲になった旧役場庁舎が、津波の爪痕を残したまま立ち続ける。
 8月、年度内解体を掲げた平野公三町長が町長選で初当選。震災遺構として一部保存が検討されてきた旧庁舎は一転、解体か保存かの論争が熱を帯びた。
 震災発生から5年目。時間がたち、解体から保存へと考えを変えた人がいた。復興需要の収束を見据え、被災地見学で人を呼び込む役割を指摘する声も出た。
 町議会は慰霊と鎮魂の場の整備、震災対応の再検証を優先するよう求め、平野町長は年度内解体を断念した。解体方針そのものは撤回せず、決着は来年度以降に持ち越された。
 各地の震災遺構が次々と姿を消す中、旧庁舎には今も県内外の人が訪れる。
 20日に友人と立ち寄った堺市の女性(44)は「あらためて震災を忘れてはいけないと思った」と静かに手を合わせた。


2015年12月28日月曜日


先頭に戻る