福島のニュース
  • 記事を印刷

復興願い30年ぶり神楽復活 南相馬

奉納に向け、神楽の練習に励む青年団のメンバー

 東日本大震災の津波被害を受けた福島県南相馬市原町区雫地区で、約30年ぶりに地元の神楽が復活する。地域再生の足掛かりにしようと、残された記録などを頼りに青年団が習得に努めてきた。来年の1月2日、地区内にある津神社で奉納を予定している。

 雫地区の神楽は、大きな獅子頭で荒々しく舞うのが特徴だ。戦後に一度途絶え、1970年代に復活を果たしたが、10年ほどで再び伝承されなくなっていた。
 今回呼び掛け人となったのは、雫青年団長を務める高田貴浩さん(34)。震災間もない2011年4月、不明者の捜索中、泥にまみれた獅子頭を地区の集会所で発見。「獅子頭が『もう一度神楽をやれ』と言っているような気がした」と振り返る。
 青年団有志の賛同を得て、13年から道具の準備に着手。家庭用ビデオに残された映像で笛、太鼓の拍子を研究した。経験者に助言を求め、動作や口上の技量向上を図った。
 指導に当たった青年団OBの高田光定さん(62)は「地域のために若者が立ち上がってくれたのが何よりうれしい」と表情を緩める。
 全域が浸水した雫地区では、青年団員を含む25人が犠牲となった。一部は東京電力福島第1原発事故に伴う避難区域に指定されている。市内の仮設住宅から練習に通う高野元一さん(29)は「震災で失ったものは大きい。わずかでも地域の財産を取り戻したい」と意気込む。
 青年団は楽譜、映像などによる神楽の保存を検討している。貴浩さんは「地元の文化は、分散してしまった住民の心のよりどころにもなる。長く、確実に伝承していきたい」と話している。


2015年12月29日火曜日

  • 記事を印刷

先頭に戻る