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<焦点>健康悪化不安増す 生活保護申請も

チーム王冠のスタッフ(右)と生活保護申請について話し合う佐藤さん

 東日本大震災で被災した国民健康保険(国保)加入者の医療費窓口負担の免除措置をめぐり、宮城県内の被災者支援団体などが危機感を募らせている。2016年度の継続が不透明で、市町村が打ち切った場合、健康の悪化が懸念される人が多いという。仙台弁護士会は今月、石巻市の男性への支援として、自己負担なしで医療を受けられる生活保護を市に申請した。
 仙台弁護士会は11月、石巻市の一般社団法人「チーム王冠」と協力し、県内の在宅被災者の聞き取り調査を始めた。訪問した約30世帯のうち、5世帯ほどは生活保護が必要と分かった。
 生活保護を申請した石巻市の無職佐藤悦一郎さん(71)は年金に頼る1人暮らし。震災時に倒れたタンスの下敷きになり、両膝の骨にひびが入った。今でも歩くのが不自由だ。内科など四つの医療機関にかかり、膝の痛み止めや降圧剤など約10種類の薬を処方されている。
 10月には大腸ポリープを切除した。「震災前はどこも悪いところはなかったのに」と佐藤さん。チーム王冠のスタッフは「震災のストレスや先を見通せない不安感が影響しているのではないか」と推察する。
 佐藤さんの年金収入は2カ月で手取り約14万円。生活費に使えるのは月3万円で、食事をインスタント食品にして切り詰めている。佐藤さんは「毎日野菜を食べろと言われたけれど、高くて買えない」とこぼす。
 宮城県が13年3月末にいったん、医療費の免除を打ち切った際は、通院回数を減らさざるを得ず、膝の状態が悪化した。
 自宅は1階が津波にのまれて大規模半壊。国の応急修理制度と貯金などで修繕したが、貯金は底をついた。「医療費免除がなくなれば、病院に通えない。死ねとでも言うのか」と嘆く。
 生活保護を受給すると医療費は無料になる。仙台弁護士会の宇都彰浩弁護士(42)は「在宅被災者の多くが健康に不安を抱えている。医療費免除がなくなると通院に支障が出るのは明らか。現状の救済策は生活保護しかない」と言う。
 生活保護については、持ち家や借金があると受給できないと誤解している人も多いという。宇都弁護士は「在宅被災者は家があるからと申請を諦める人もいる。制度を広く周知する必要がある」と語る。


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2015年12月30日水曜日

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