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<回顧みやぎ>指定廃調査2年連続の越年

住民の抗議を受けて引き返す環境省職員ら。この日がことし最後の現地入りとなった=11月13日、加美町田代岳

◎(12完)本記の解決策 今度こそ

<そのとき>
 「毎日、現地調査に来るようだ」。東京電力福島第1原発事故で発生した指定廃棄物の最終処分場建設問題をめぐる取材の中で、こんな話を耳にしたのは10月初め。「国が本気になったのか」と思ったが、やがてそうではなかったと気づかされることになった。
 環境省は10月6日以降、県内3建設候補地のうち加美町田代岳で町が拒否する現地調査を連日試みた。当然、住民は猛反発。猪股洋文町長を先頭に毎回100人以上の住民が抗議に駆け付け、環境省職員と押し問答を繰り広げた。
 連日の現地入りは11月13日まで計20日間続いたが、音を上げたのは環境省の方だった。降雪時期が迫り、昨年に続き2年連続で調査入りを見送った。
 取材を通して環境省職員の一言が印象的だった。「調査に入れなかったとしても、環境省として努力した事実をつくる」。「誰に向けてのアピールか」といぶかったが、偽らざる本音だったのだろう。手詰まりの中で、打開策を見いだせずにいる現場の苦悩も透けて見えた。

<それから>
 最後の現地入りからちょうど1カ月後の今月13日。環境省は昨年8月以来となる県内市町村長会議を開いた。これまで調査容認だった他の候補地の栗原市と大和町も「これ以上我慢できない」と候補地の返上を申し出た。
 井上信治環境副大臣は従来通り3カ所で調査を進める方針を強調したが、3候補地が初めて「調査拒否」で足並みをそろえた以上、進展は望めないだろう。
 ではどうするのか。指定廃棄物に含まれる放射性物質濃度が時間の経過とともに低減し、基準値の1キログラム当たり8000ベクレルを下回るまで一時保管を続けるか。または約13万トンの指定廃棄物を抱える福島県への集約処理を目指すか。
 どれも反発は必至だ。県内最多の汚染稲わらを一時保管する登米市の布施孝尚市長は会議の中で「住民は『廃棄物が放置され続けてしまうのでは』と不安を募らせている」と憤りをぶつけた。福島集約論にも「さらに負担を押し付けるのか」との批判がある。
 誰もがすぐに首を縦に振れる解決策はないだろうが、知恵を絞り考え得る案を示すべきだ。問題解決に向け、環境省には今度こそ「本気度」を見せてほしい。(加美支局・馬場崇)

[メモ] 放射性セシウム濃度が1キログラム当たり8000ベクレル以上の指定廃棄物について、発生量が多い宮城など5県には国が最終処分場1カ所を設ける方針。県内では昨年1月に3候補地を選定した。現地調査の結果を踏まえ、最終候補地を絞り込む予定だったが、調査拒否を続ける加美町の反対で昨年に続きことしも現地調査に入れず、候補地の栗原市、大和町も候補地返上を表明した。


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2015年12月30日水曜日

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