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<復興印宮城流>風土味わうツアー企画

昨年7月に取得した「丸森“こらいん”ツーリスト」の旅行業登録票

◎(2)こらいんツーリスト(丸森町)

<おせち作り体験>
 いい匂いとにぎやかな笑い声が調理場に広がる。レンコンや糸昆布など七つの具を使う「七福なます」にズイキの入ったお雑煮。だて巻きや芋ようかん、三色いり鶏。宮城県丸森町に伝わる素朴なおせち料理の品々がテーブルに並んだ。
 同町舘矢間まちづくりセンターで先月、地元の食生活改善推進員が講師を務めたおせち料理教室があった。町のグリーン・ツーリズム推進協議会と、町観光物産振興公社の旅行部門「丸森“こらいん”ツーリスト」の共同企画。仙台市や近隣市町から20人が訪れ、丸森の正月の味を堪能した。
 ツーリストは、公社が昨年7月に旅行業登録して設立した。所長の早川真理さんは「丸森の魅力を発信する面白いツアーを組んでいきたい」と話す。現在は早川さんを含めた女性スタッフ2人で運営している。
 これまで企画したツアーは、はらこ飯を船上で味わう阿武隈川舟下りや特産の干し柿「ころ柿」作り体験、岩岳トレッキングとヒマワリ畑や棚田巡りなど。どれも小回りが利く少人数のツアーで、利用客の反応も上々だ。
 ツーリスト立ち上げの背景には、東日本大震災後の深刻な観光客の落ち込みがある。町の観光名所の斎理屋敷や舟下りなどの来場者数は震災直後に半減。東京電力福島第1原発事故の風評被害に加え、町を回る大手ツアー客らが利用する相馬市の宿泊施設の津波被害も響いた。4年を経て徐々に回復してきたが、いまだ震災前の7割程度にとどまっている。

<新鮮な驚き提供>
 観光客を引きつける町の新たな魅力を探るのもツーリストの仕事だ。従来のグリーン・ツーリズムを深め、町内各地を巡る企画で人を呼び込めないか。伊達家ゆかりの城跡、蚕を守る猫神の石碑、廃校になった分校の名物桜など、地域に埋もれた観光資源に光を当てていくことが必要になる。
 早川さんは「町にあるものを最大限に生かしたい。子どもの頃に山里で過ごした人々が懐かしさを覚えたり、都会育ちの若い世代が新鮮な驚きを感じたりできる企画を考えていきたい」と意気込む。
 年明け最初の企画は、小斎地区で9日に行う餅料理と団子刺し体験(大人1500円、小学生500円)=連絡先は0224(72)6663=で、地元米を使った餅つきや正月の風習の団子刺しを楽しむ。
 春に仙南各地のひな祭りを巡るバスツアーも計画中で、さらに多くの人に丸森を訪れてもらうつもりだ。
(角田支局・阪本直人)

<集客の方向性も探る>
 丸森の魅力の原点は、自然と土地で暮らす人々の知恵。旅行業で収益を上げるのは厳しいが、新たな町の魅力を発掘して今後の集客の方向性を探るのもツーリストの役割。まずは震災前の水準に観光客を呼び戻したい。(佐藤勝栄・丸森町観光物産振興公社理事長)


2016年01月03日日曜日

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