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<防潮堤>建設3県で差 丁寧な説明不可欠

住宅地に近い海岸で建設が進む防潮堤=昨年12月下旬、気仙沼市本吉町

 東日本大震災で巨大津波に襲われた岩手、宮城、福島3県の沿岸部で、住民の命を守る防潮堤の建設が着々と進んでいる。防災力の飛躍的な向上に期待が高まる一方、震災発生から5年が近づく今なお、住民同意に至っていない地区がある。景観や漁港の利便性に配慮し、当初の高さや位置の変更を迫られた例も多く、事業主体の県や市町に丁寧な対応が求められている。

 防潮堤の高さは2011年度、数十年〜百数十年に1度発生が予想される高さ(L1)の津波を防げるように設定された。地形や過去の被害程度を踏まえ海抜2.6〜15.5メートルで計画された。東日本大震災級(L2)の津波は防御できない。
 建設状況は表の通り。3県とも1割程度完成したが、ここに来て進行の度合いに差が生じている。
 岩手では全箇所で住民が同意済みで、18年度までに完成する見通しだ。県まちづくり再生課は「当初は用地取得が難航したが、国の制度改正もあって着工が進んだ。工期短縮の工夫を重ね、早期完成を図りたい」と説明する。
 福島では東京電力福島第1原発事故の影響で、原発20キロ圏内の災害査定が遅れていた。大熊町沿岸など帰還困難区域を除き、15年度内に全工事を発注できる見通しが立った。
 宮城は防潮堤建設に反発する住民と県・市町の間で話し合いが今も続く地区があり、工事完了のめどは立っていない。
 気仙沼市の魚市場前地区に県が建設を予定する海抜5メートル、長さ1.3キロの防潮堤計画には、水産関係者らが「市場への出入りが不便になる」と異議を唱える。市議会12月定例会でも市内各地の防潮堤建設の是非について質疑が交わされた。
 住民と協議を進める過程で計画が見直された例は少なくない。国土交通省によると、工事箇所のうち当初計画から高さや位置を変更した地区は岩手27カ所、宮城154カ所、福島1カ所に上る。
 岩手では釜石市鵜住居町の根浜海岸で14.5メートルから5.6メートルに下げ、原形復旧とした。大船渡市吉浜、大槌町赤浜でも当初より引き下げた。景観への配慮、防潮堤背後地の集団移転などを踏まえた。
 気仙沼市大島の浦の浜では7.8メートルから7.5メートルに下げつつ、傾斜を緩やかにして景観を保つように工夫した。住民との協議について宮城県河川課の担当者は「丁寧な説明を重ねながら、市町と一体となって安全なまちづくりを進めたい」と話す。


2016年01月03日日曜日


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