福島のニュース
  • 記事を印刷

<成人式>中3で被災 二十歳の私励ます手紙

松本さん(右)から手紙を受け取る双葉町の新成人

 東京電力福島第1原発事故で全町避難が続く福島県双葉町の成人式が3日、福島県いわき市で行われ、式後の同窓会で新成人に一通の封書が手渡された。双葉中3年の時、20歳の自分宛てに書き、成人式の日に自宅に郵送される予定だった手紙だ。当時の学級担任が帰還困難区域にある中学校で手紙を見つけ、「サプライズ」として新成人に贈った。
 自分宛ての手紙は2010年10月下旬、3学級あった3年生の74人全員が書いた。11年3月11日の卒業式の直後に東日本大震災と原発事故が発生。74人は全国に散り散りに避難し、町は立ち入り禁止になった。
 当時の学級担任で、同窓会に招待された双葉中教諭松本涼一さん(41)が手紙の計画を思い出し、許可を得て昨年12月、卒業式から時間が止まったままの双葉中に入った。別のクラスの担任だった高橋伸一さん(51)=南相馬市石神中教諭=の記憶を元に、施錠されたキャビネットを開け、手紙を発見。安全性を確認して持ち出した。
 成人式と同窓会には、全国から約60人が出席。卒業式の写真や今も残る黒板の寄せ書き、松本さんが手紙を見つけたときの映像が流された後、松本さんや高橋さんらが一人一人に手紙を手渡した。
 新成人は宛名も差出人も自分の名前が書かれた封筒を受け取ると「覚えていない」「字が汚い」などと言いながら手紙を読み、涙ぐんだり、笑ったりした。
 「親孝行するように」「不安もあると思うけど、頑張って」「涙はきっと君の明日になる」「彼氏はいますか」「髪を染めたい」「高校受験が不安」。将来の自分を励ます言葉や当時の気持ちがつづられていた。
 看護師になる夢を書いていた森藤伶佳さん(20)は「今、看護師を目指して東京で大学に通っている。手紙のことは忘れていたけれど、自分に励まされて、うれしかった」と話した。
 出席できなかった新成人には、町の協力を得て郵送する予定。松本さんは「手紙を渡せてほっとした。当時の気持ちや思い出を胸に、今後も前に進んでほしい」とエールを送った。


2016年01月04日月曜日

  • 記事を印刷

先頭に戻る