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<復興印宮城流>新鮮な食材 戒律対応に

昨年11月の展示商談会で来場者を迎える松本さん(左)
ハラルチャレンジ事業で開発された商品

◎(5)ハラル食(石巻)

<和の風味生かす>
 東日本大震災で被災した水産加工会社など26社でつくる一般社団法人「石巻元気復興センター」(宮城県石巻市)は、地元の新鮮な食材を使った「ハラル食」の開発に力を入れ、販路を開拓している。
 千葉市の幕張メッセで昨年11月下旬の2日間、国内最大級のハラル食などの展示商談会があった。約80の企業・団体が参加。復興センターはイワシのすり身汁やカキのキーマ風カレーなど約15品を並べた。
 和の風味を生かしたハラル食は注目を集めた。イスラム教徒やバイヤー、ホテル関係者ら200人以上が入れ代わり立ち代わりブースを訪れ、複数の引き合いがあった。代表理事の松本俊彦さん(51)は「力を合わせて頑張ってきてよかった」と手応えを感じた。
 復興センターは2011年12月の設立。津波で被災した石巻市内の企業家らが再建に向け、連携したのがきっかけ。設立後は市中心部の仮設商店街に出店したほか、全国の物産展などで商品をPRしてきた。

<国外でも試食会>
 ハラル食市場への参入は13年夏、センターを支援する大手製薬会社の担当者が提案した。世界のイスラム教徒は16億人に上り、市場は60兆円規模とされる。
 「石巻のおいしい地場産品を食べ物に制限があるイスラム教徒にも味わってほしい」。復興センターの企業のうち10社が参加して14年5月、観光客らをターゲットに「ハラルチャレンジ事業」を始めた。
 商品開発では、原料や調味料に豚やアルコールが使われていないかを入念に調べ、試食を重ねた。
 追い風になったのが、日本イスラム文化センター(東京)の事務局長らを招いた15年1月の試食会だ。サバだしラーメンや海鮮おからギョーザなど約10品を提供し、「これはおいしい」と高く評価された。事業のメンバーは「イスラム教の戒律対応の商品だと示す『ハラル認証』に匹敵するお墨付きが得られた」と振り返る。
 同3月には、仙台市内のホテルで開かれた「国連防災世界会議」のレセプションパーティーでチャレンジ事業の3商品が振る舞われ、出席者の好評を得た。
 メンバーは国外にも目を向ける。月内には1週間、インドネシアを訪問。試食会やスーパーの視察などを実施し、商品が受け入れられるかどうか、可能性を探る。松本さんは「これからがスタート。今まで以上に石巻のおいしさを売り込んでいく」と力を込める。(石巻総局・水野良将)

[ハラル食]アルコールや豚肉の飲食を禁じられているイスラム教の戒律に従った食べ物。「ハラル」はアラビア語で「合法」を意味する。豚由来成分やアルコール成分を含む食品や調味料などは禁止されているが、宗派や個人で解釈は異なる。

◎挑戦重ね市場拡大を
 日本の水産物の市場が縮小傾向にある中、ハラル食のマーケットは成長する可能性を秘めている。さまざまなアイデアや知見を採り入れながら、石巻の食の良さを売り込む戦略を練り上げ、失敗を恐れずチャレンジを重ねてほしい。(須能邦雄・石巻魚市場社長)


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2016年01月06日水曜日

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