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<土方巽>写真集「鎌鼬」テーマ 美術館計画

鎌鼬美術館として改修予定の土蔵を案内する阿部副会長
土方巽

 秋田市出身の暗黒舞踏家土方巽(1928〜86年)が被写体となった写真集「鎌鼬(かまいたち)」(69年刊)の撮影地の秋田県羽後町で、町民らが作品などを展示する「鎌鼬美術館」の開設準備を進めている。ことしは土方の没後30年に当たる。写真集ゆかりの土蔵を改装し、夏までのオープンを目指す。
 土方は暗黒舞踏の創始者として60〜80年代に活躍し、今も世界的に高い評価を受ける。日本写真史に残る傑作とされる「鎌鼬」の撮影は65年、同町田代地区の農村で始まり、土方が住民と交流しながら繰り広げる即興のパフォーマンスを米沢市出身の写真家細江英公さん(82)がカメラに収めた。
 鎌鼬はつむじ風によって皮膚に鎌で切られたような傷がつくことを指し、妖怪の仕業と考えられてきた。写真集は、見る者の常識を切り刻むような土方の前衛的ポーズに満ちあふれている。
 撮影開始から50年の節目だった昨年、町民有志らは撮影地を地域資源として生かそうと8月に「鎌鼬の里の会」を結成。美術館開設へ向けて動き始めた。
 計画では、田代地区にある町の総合交流促進施設内の土蔵を改修する。施設は里の会の長谷山信介会長(67)の先祖が住んでいた旧長谷山邸で、木造3階の土蔵のうち1階部分約100平方メートルを美術館とし、写真集の作品約20点と関連資料を展示する。土蔵3階は撮影に使われ、今も当時の状態で保存されている。
 「美術館があると、国内外からの観光客や土方の研究者を受け入れやすくなる」と長谷山会長。町や県などの協力を得て、土方の命日の21日、美術館の運営主体となるNPOを設立する。
 課題は改修費や運営費などの工面で、開館には計約2200万円が必要になる見通し。羽後町議で里の会副会長の阿部久夫さん(67)は「インターネットで小口の出資を募るクラウドファンディングなどの手法を考えている。土方の教え子筋に当たる舞踏家や細江さんのファンらの支援にも期待したい」と話す。
 里の会は、美術館から情報を発信し「秋田県を舞踏の聖地に」という願いも抱く。阿部副会長は「舞踏家の合宿地として全国から来てもらうよう働き掛けるなど、交流人口拡大のきっかけにもつなげたい」と話す。連絡先は里の会事務局0183(62)5009。


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2016年01月06日水曜日


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