山形のニュース

<東北芸工大>津波被災の彫刻 息吹再び

エアブラシなどで作品の付着物を取り除く学生

 山形市の東北芸術工科大で、東日本大震災で被災した石巻文化センター(宮城県石巻市)収蔵の彫刻の修復作業が進められている。学生らは、海水や泥にさらされ破損した一つ一つの作品に向き合い、これまで約60体を修復した。
 文化センターは民俗資料「毛利コレクション」や、石巻市出身の彫刻家高橋英吉の作品など多数の作品、資料を収蔵していた。津波により1階が冠水し、美術資料だけでも212点が被害を受けたという。
 震災発生翌月の2011年4月、全国から集まった博物館や関連団体の学芸員らが、がれきの撤去や資料の運搬を開始。彫刻や絵画などの美術資料は、宮城県美術館へ運び、洗浄、殺菌などの応急処置を施した。
 同年6月には、修復を担当する芸工大へ彫刻を運び、文化財保存修復学科の藤原徹教授を中心に作業が始まった。
 修復経験が長い藤原教授は「塩水に漬かり泥をかぶった作品を扱うのは初めてで、時間の経過とともに乾燥して割れたり、色落ちしたりしないか予想が付かなかった」と振り返る。
 ゼミの学生らと共に、無数の染みや傷が付いた作品を、慎重に観察しながら修復を進めた。津波で流れ込んだ大量のパルプが付着していたり、作品に関する資料も被災したために本来の姿が確認できないなどの問題もあったという。
 円盤のような木製彫刻を担当する文化財保存修復学科3年の斎藤栞さん(21)は「ゆがんでいるパーツがあって組み立てるのも難しい。まだ見つからないパーツもある」と話す。
 集められた木材の中から合う部分を探し、ブラシなどを使って付着物を取り除きながら作業を進めている。昨年12月に、作家の家族から資料が寄せられたため、これから本格的な作業に取り掛かる。
 活動はボランティアで行われ、芸工大が担当する彫刻の修復はことし中に終了する見通し。文化センターの建物は解体されており、新たな収蔵施設が完成するまで、作品は宮城県美術館などで保管される。
 藤原教授は「私たちは持っている技術で、できることをコツコツやるだけ。作家が命を削って表現したものを残していきたい」と力を込める。


2016年01月07日木曜日


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