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<松川事件>世界記憶遺産 登録機運高まる

福島大松川資料室に保管されている諏訪メモ(下)と元被告の獄中からの手紙

 戦後最大の冤罪(えんざい)事件とされる「松川事件」の裁判資料や元被告の手紙などを、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界記憶遺産」に登録を目指す機運が高まっている。福島市内の市民グループが中心となり25日、「松川資料ユネスコ世界記憶遺産登録を推進する会」を設立。早ければ2017年にも登録を申請する。
 世界記憶遺産は歴史的な文書や絵画などを保護することを目的にユネスコが認定する。
 事件では、全員有罪とした裁判に疑問を抱いた文化人らを中心に、元被告の救済を求める世論が拡大。全国1300カ所以上で住民組織「松川を守る会」が発足するなど大衆運動になった。NPO法人「福島県松川運動記念会」は、こうした大衆運動で司法の正義を実現させた史実を、後世に残すべきだと呼び掛けている。
 資料は福島大の松川資料室で保存。冤罪の決定的な証拠「諏訪メモ」や無罪を訴える元被告たちの獄中からの手紙などがある。諏訪メモは長く東北大で保管されていたが、昨年10月に関係資料と共に移管された。同資料室が保管する資料は10万点を超える。
 NPOはさらに資料を収集し、東京や大阪にも拠点を置いて運動を全国に広げたい考えだ。吉田吉光事務局長は「世界記憶遺産への登録で事件を国内外に発信し、後世に伝えるとともに福島が誇れるものにしたい」と話した。

[松川事件]1949(昭和24)年8月17日未明、福島市松川町の東北線松川−金谷川間で列車が脱線、転覆し、乗組員3人が死亡した。旧国鉄や東芝の労働組合員ら20人が逮捕、起訴され、一審は5人が死刑を言い渡されるなど全員が有罪、二審は4人が死刑判決を受けるなど、計17人が有罪となった。被告の冤罪を示すメモが見つかり、最高裁は有罪判決を破棄。61年、高裁の差し戻し審で全員に無罪が言い渡され、63年に確定した。64年に事件は時効となった。


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2016年01月10日日曜日

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