福島のニュース

<松川事件>元被告 実現訴える

 福島市の阿部市次さん(92)は松川事件の元被告の一人で、一審では死刑判決を受けた。事件を世界記憶遺産に登録を目指す動きについて「事件は国民の戦いの記録だ。権力犯罪の実態を訴えた民主的運動として価値がある。後世のために実現してほしい」と歓迎する。
 阿部さんは旧国鉄労組で人員整理などに反対していた。先に摘発されていた元被告の自白により事件を指揮した人物として逮捕された。10年近くを獄中で過ごし、「最高裁で無罪判決を受けた瞬間は興奮した」と振り返る。
 獄中では毎日、無実を訴える手紙を外部の支援者らに向けてしたためた。自分たちの救済を求める運動が、獄外で広がるのを肌で感じていたという。
 元被告20人のうち15人が鬼籍に入った。存命の5人も90歳前後。「登録申請運動には長く携われないが、後世のために力を合わせて成功させてほしい」と話す。
 一方で「『元被告』という肩書はとれない」と阿部さん。事件の真相は解明されておらず、無罪確定後も疑いの目を向けられたこともあった。
 「今も冤罪(えんざい)事件が起こっている。権力側にはあらためて松川事件と向き合ってほしい。証拠の全面開示を進めるなど、姿勢を変えるべきだ」と語った。


関連ページ: 福島 社会

2016年01月10日日曜日

先頭に戻る