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<公益通報>市町村に窓口 東北17%

 勤務先の不正を労働者が行政機関などに内部告発する公益通報で、民間企業など外部の労働者向け窓口を設置している東北の自治体が38市町村(設置率17.0%)にとどまることが、消費者庁への取材で分かった。全国平均の設置率29.1%を10ポイント以上下回る。制度は今春、施行10年を迎えるが、国民の健康を守る内部告発の制度が十分に生かされない恐れが出ている。
 消費者庁によると、東北の市町村における通報窓口の設置率は表の通り。窓口は別に自治体職員向けもあるが、東北では41.5%と全国平均(52.4%)を下回った。
 青森市の場合、「生活安心課」を窓口とし、担当職員が電話や面談などで外部からの通報を受け付けている。市職員からの通報は総務課のほか、外部に委託した弁護士が対応する仕組みも備えている。
 窓口がない自治体は「設置は人件費がかかる。市のホームページなどで声を拾うよう努めている」(二戸市)、「専用の窓口が必要だと認識しているが、優先度は低い」(白石市)などの理由を挙げている。
 一方、従業員50人以下の企業の9割が内部通報制度を導入していなかった。導入した残り1割も通報者の特定を懸念し、ほとんど使われていなかった。
 宮城県亘理町で昨年10月に発覚した冷凍海産物の賞味期限改ざん問題で、通報した元従業員は「仮に勤務先に通報制度があったとしても、上層部が不正を指示していた今回の事案では利用は無理。市町村が窓口を設けていれば使いやすいが、全く存在を知らず、弁護士に相談するしか選択肢がなかった」と話す。
 同庁は、公益通報制度の趣旨を生かすため、全自治体を対象に毎年調査を行い、窓口の設置を促してきたが、自治体側は依然、消極的だ。
 内部告発者の支援に取り組む民間の公益通報支援センター(大阪市)の阪口徳雄事務局長は「窓口がないと労働者が告発を断念しかねず、問題が深刻化してしまう。内部告発は社会に有益であり、安心して利用できる環境整備が必要だ」と強調する。


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2016年01月10日日曜日

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