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<復興印宮城流>スマホ手に若者ら続々

昨年11月15日、登米市登米町の観光施設はスマホを手にしたイングレスプレーヤーでにぎわった

◎(10)登米町のイングレス(登米)

<油麩丼の店満席>
 城下町の風情を残し、明治時代に造られた学校や旧県庁などハイカラな歴史的建物が並ぶ「宮城の明治村」。登米市が誇る登米町地区の観光スポットだ。
 静かなたたずまいのエリアが昨年11月15日、若者たちでにぎわった。住民たちは「なぜ大勢の若い人がうろうろしているのだろう」と首をかしげた。
 この日、登米町地区を舞台にした仮想空間の陣取りゲーム「イングレス」が繰り広げられていた。参加者は約150人。静岡県や三重県から足を運んだ人もいて、終日、町内を巡った。「ゲームだけでなく、町歩きを楽しめた」。参加者の評判は上々だった。
 主催した登米市イングレス活用研究会の海老名康和会長(51)は「郷土料理の油麩(ふ)丼の提供店が満席になるなど、狙い通り」と満足する。
 ポータルなどは設定されたままで、現在も同地区にはスマホを手にした若者ががひっきりなしに訪れる。

<「脱出ゲーム」も>
 東日本大震災の揺れで、「明治村」は多くの建造物が被災した。1年後には復旧したが、一度離れた観光客は戻って来なかった。
 震災前の2010年、登米町地区には27万676人の観光客が訪れた。震災翌年の12年は11万8362人に激減。14年も10万7923人と低落傾向を引きずった。市の担当者は「油麩丼が注目され観光客が伸びていたが、震災で勢いがなくなった」と残念がる。
 手をこまぬいてばかりはいられない。地元の商店主らは策を講じた。中心になった20〜30代の商店主が考案したのは、町全体を利用した「脱出ゲーム」。観光施設などに閉じ込められた参加者が謎を解きながら町の名所を巡って脱出を繰り返す内容で、昨年は複数回開いた。
 町内への集客や回遊の効果は大きく、イングレスイベントの日にも同時開催。イングレス参加者を含め、計約300人を呼び込んだ。
 海老名会長や若手商店主らは今、脱出ゲーム、イングレスに続く「第3の仕掛け」を考案中だ。例えば町内の空き店舗を利用したファッションショー。仙台の服飾専門学校と協力し、生徒らの発表の場にする構想を膨らませる。
 「観光とは、観光資源(=光)を見る旅。受け入れる側も、見られて光る」と考える海老名会長。「観光客でまちがにぎわうことは住民マインドの部分でのプラス効果も大きい。『ここで頑張っていこう』と希望が持てるようになる」と話し、次の一手を模索する。(登米支局・本多秀行)

◎人を呼ぶ仕掛け必要

 イングレスイベントは想像以上の人気だった。登米の観光は今のままではいけない。古い建物がここの売りだが、それだけでリピーターは来ない。何かしらの仕掛けが必要だ。今後も研究会の活動に期待している。(河内安雄・とよま振興公社専務)

[イングレス]インターネット検索大手グーグルが運営するスマートフォンの位置情報を利用した仮想空間の陣取りゲーム。二手に分かれたプレーヤーが現地を訪れ、観光施設や史跡など指定された拠点「ポータル」を取り合う。奪ったポータル間をつなぎ、陣地を広げていく。ゲーム中「武家屋敷を巡れ」などの「ミッション」がある。


2016年01月11日月曜日

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