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<モンテ>新スタジアム構想実現へ始動

陸上競技場のため、ピッチと観客席が遠く離れるNDソフトスタジアム山形。「臨場感に欠ける」などの不満が漏れる

 サッカーJ2山形を運営するモンテディオ山形(天童市)は、昨年12月に公表した新スタジアム構想の具体化に動きだす。目指すは全席屋根付きで、2万人以上を収容する臨場感あふれる専用スタジアム。夏は猛暑、冬は風雪に耐えて応援するサポーターの期待に応える。ただ、構想は建設場所や費用負担などの根幹部分が白紙で、検討過程では曲折も予想される。(山形総局・長谷美龍蔵)

 「新スタジアムはJ1昇格と両輪で取り組みたい」。12月26日にあったサポーターカンファレンス。森谷俊雄社長は構想の実現に強い意欲を示し、具体的な検討に着手すると宣言した。
 2013年、当時の市川昭男山形市長が突如、建設に乗りだす考えを表明し、急浮上した新スタジアム構想。県などから運営会社は方針を求められ、前社長が昨年5月に有識者の検討委員会を設置。構想書をとりまとめ、12月に公表した。
 現本拠地のNDソフトスタジアム山形(天童市)は、約2万席のうち100席程度しか屋根がない。トイレの数を含め、Jリーグの施設基準を満たしておらず、制裁措置を受けている。
 陸上競技場のためトラックがあり、ピッチと観客席が遠く離れ「臨場感に欠ける」などの不満が漏れる。陸上関係者にとっても、相次ぐJリーグ開催で使いづらいという問題を抱える。

<最良の環境提供>
 新スタジアムはこれら諸課題の解決を目指す。構想書によると、収容人数はNDスタと同規模以上を想定。全ての観客席を屋根で覆って施設基準をクリアし、山形特有の風雨、風雪をしのぐ防風壁も設置する。ピッチと観客席は可能な限り近づけ、臨場感を重視する。
 観戦環境を向上させて観客動員を増やし、チームを支える経営基盤を強化する。担当の横内崇取締役は「根底にあるのは最良の環境でサッカーを楽しんでほしいとの思いだ」と説明する。
 とはいえ、構想書に描かれたスタジアム像は「使う側の理想」(森谷社長)。建設場所や事業手法、費用負担などの裏付けがなく、社外取締役の一人は「あくまで夢物語」と言い切る。

<県は静観の姿勢>
 建設場所をめぐっては山形、天童両市の綱引きがある。昨年9月に就任した佐藤孝弘山形市長は本拠地の誘致には否定的だが、スタジアム建設を公約。12月21日の記者会見で「モンテと歩調を合わせたい」との意向を示し、連携を模索する。
 一方、山本信治天童市長は11月25日の記者会見で、新スタジアムは「(NDスタがある)県総合運動公園内か、その周辺でお願いしたい」と強調。ホームタウンとして一歩も譲らない。
 事業手法は、構想書が複数の選択肢から「公設民営が最善」と提案するが、100億円以上とも言われる建設費の負担が絡み、簡単には決まりそうにない。
 株主の県も多くのハコモノ事業を抱え、安請け合いできない状況。吉村美栄子知事は12月28日の定例記者会見で「会社がどうするのか注目する」と述べただけで、静観の姿勢を貫いた。
 モンテは今後、県内各地で構想書の説明や意見収集を行い、16年度の早期に基本計画の検討に入ることを目指す。建設場所や事業手法の調整が順調に進むかどうかが、鍵を握りそうだ。
 森谷社長はサポーターカンファレンスで「実現の時期は見えないが、議論を前に進めることで一歩でも近づければいい」と語った。


2016年01月11日月曜日

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