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<蒲生干潟>再生見つめる「守る会」大賞受賞

「蒲生干潟に生息する鳥類や生物の個体数は震災前の水準を回復しつつある」と説明する熊谷さん=仙台市宮城野区の蒲生干潟

 仙台市宮城野区の蒲生干潟で長年にわたって豊かな生態系を調査してきた「蒲生を守る会」(青葉区)が、日本自然保護大賞(日本自然保護協会主催)を受賞した。東日本大震災後の干潟再生を丹念に記録。防潮堤建設に対しては「自然への配慮を欠く」と計画の見直しを訴え、行政を動かしたことなどが評価された。

 守る会は1970年、仙台港建設に伴う干潟の全面埋め立てに反対する市民有志で結成。以来46年間、自然観察会などを企画して蒲生干潟の魅力を伝えてきた。
 震災の津波で干潟の景観は一変。守る会の古くからのメンバー熊谷佳二さん(60)は「生命の気配がまるで感じられない沈黙の干潟になった」と振り返る。
 2011年5月、守る会の定期調査でイソシジミの巣とみられる小さな穴が見つかった。その後も準絶滅危惧種に指定されている巻き貝「フトヘナタリ」などを確認。震災前に生息していなかった鳥類も数種観察されるなど干潟は驚異的スピードで再生を遂げた。
 震災に伴う防潮堤建設計画が持ち上がった際は、宮城県に対し「生態系に悪影響を及ぼす」と問題提起。話し合いの末、防潮堤を内陸側に最大80メートル移動することになった。
 こうした自然保護と生物多様性保全に貢献した取り組みが昨年12月、東北復興貢献部門の大賞に結実。熊谷さんは「蒲生干潟の保全が全国的に関心を呼んでいる証拠」と喜ぶ。
 熊谷さんは防潮堤について「松林に生息するアカテガニは河口付近の干潟に移動して幼生を放出する。防潮堤が完成すれば生命の営みを断ち切ってしまう」と依然懸念する。「復興名目で自然への配慮を欠いた構造物は負の遺産になる」と警鐘を鳴らし、今後も保全活動に力を入れる決意だ。


2016年01月12日火曜日

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