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ハワイ漂着の和船 3・11帰還

ハワイ・オアフ島に漂着した第2勝丸と発見者の女性(早苗さん提供)

 宮城県石巻市雄勝町波板地区の故伊藤恭一さん=当時(66)=が愛用し、昨年4月に米ハワイ・オアフ島で見つかった和船「第2勝丸」(約0.5トン)が東日本大震災から5年となる3月11日、帰還する。現地の保管先で宮城県の海洋実習船に積まれ、海路石巻へ運ばれる。古里で船を震災遺構として展示し震災の教訓を後世に伝えることを望む有志らは「夢が実現することになりうれしい」と喜ぶ。
 宮城水産高(石巻市)の生徒らが乗る実習船「宮城丸」が15日に石巻港を出発する。実習後の2月下旬、ハワイ州政府で保管されている船を積み、石巻への帰路に就く予定。県教委が船の運搬を承諾したほか、ハワイ州政府と有志の橋渡しをした現地在住の日本人男性らの協力もあり、帰還に関する手続きが済んだ。
 船は帰還後、波板地区の拠点である波板地域交流センターに移される見通し。具体的な展示の場所や方法などについて、地区住民ら有志でつくる「第2勝丸保存会」は石巻市との協議などを踏まえ、多くの市民や観光客らに見てもらえるようにしたい意向だ。
 伊藤さんは2003年4月に病気で亡くなった。船は震災の津波で流されたとみられ、昨年4月22日にオアフ島の女性が見つけた。
 伊藤さんの次女早苗さん(44)=東松島市=は「父が愛用していた船が戻ってくるなんて信じられない。帰還が3月11日とは不思議な縁を感じる」と話す。
 伊藤さんの妻たけのさん=当時(68)=は震災の津波にのまれ、行方が分からない。保存会の伊藤武一さん(68)は個人的な考えとして「船を地区の震災犠牲者の鎮魂の碑と共に置くことができればいい」と思い描く。
 宮城丸の船長日野浩之さん(55)は「船を大切に運搬したい。歴史的な出来事に携わることができうれしい」と語る。宮城水産高の亀山勉校長は「生徒たちにとって震災を再確認するいい機会になる。古里の船を実習先から積んで来る忘れられない航海になるのではないか」と期待する。


2016年01月14日木曜日

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