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<女川原発>5km圏 ヨウ素剤配布進まず

 東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)での重大事故時に甲状腺被ばくを防ぐため、半径5キロ圏の予防的防護措置区域(PAZ)の住民に事前に配られる安定ヨウ素剤の配布が進んでいない。宮城県が地元の両市町に年度内の配布を促しているが、市町側は副作用の心配など具体的な課題を挙げ、慎重姿勢を崩さない。(丹野綾子)

 事前配布は、原子力規制委員会が定めた原子力災害対策指針に基づく対応。事故直後の混乱期に配るのは難しいため、規制委は医師の指導の下での事前配布を認めた。事故発生時は規制委の判断に基づき、原子力災害対策本部か自治体が服用を指示する。
 県は関連予算約1500万円を2015年度一般会計当初予算に計上した。医療関係者などの「宮城地区緊急被ばく医療ネットワーク会議」や市町との担当者会議で方針を説明し、副作用が起きた場合などにすぐ対応できるよう医療関係者向け説明会も開いている。
 その上で県は「住民基本台帳に基づき地元自治体主体で配ってもらう」(原子力安全対策課)として年度内の配布に向け、医師を交えて服用目的や副作用を周知する住民説明会の開催を市町側に求めてきた。

<課題を指摘し反発>
  これに対し石巻市は、(1)住民が誤飲して副作用が出た場合の責任の所在(2)5キロ圏内に通勤通学する圏外住民に配布するかどうか(3)住民が亡くなった時にどう回収するか−といった具体的な課題を指摘。「安定ヨウ素剤は住民の健康に関わるだけに、課題を解決せずに配っては混乱を招く。国や県は、もっと明確にルールを定めてほしい」と反発する。
 女川町も「考えれば考えるほど課題が出てくる。細部までルールを決めておかないと住民に迷惑を掛けることになり、現時点で『いつ配る』とは言えない」と戸惑う。

<時期見通し立たず>
  こうした声に県原子力安全対策課は「寄せられた疑問には一つ一つ答えているし、配布対象者の範囲などは判断を任せている。5キロで厳密に区切るようには言っていない」と反論。
 「議論は重要だが、原発は今そこにある。住民の安心のためには早く配った方がいい。配布を進める中で出てくる課題は少しずつ改善していけばいいし、そのサポートはする」と理解を求める。
 配布の必要性については県、市町とも一致する。ただ現状では配布時期の見通しは立たず、年度内に配り終えられるかどうかは不透明だ。

[安定ヨウ素剤]放射能を持たないヨウ素(ヨウ化カリウムなど)を含む錠剤。原発事故の初期段階で服用し、甲状腺被ばくを防ぐ。効果が服用から約24時間と限られることから適切なタイミングで服用する必要があり、副作用の可能性もあるため本来は医師の管理や処方が必要。服用の有効期限は3年間。


2016年01月14日木曜日

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