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<杜の都のチャレン人>若手育てるのは現場

大工を目指す東北電子専門学校建築大工技能科の生徒たちに実践指導する高橋さん=岩沼市の東日本航空専門学校

◎大工の技術継承に挑む 高橋渉さん(41)

 東北電子専門学校、石巻工高の生徒を相手に実習授業を行う。週3回だ。
 学校の先生が授業で教えるのは建築の理論や歴史に偏りがち。現場の大工が実践指導し、家を建てるプロセス全体をじかに体験してもらう。「若い大工を育てるのは現場だ」。そう確信している。
 電動工具や建設機械が発達し、簡単に家が建てられるようになった。あらかじめ加工された建築用材も手間暇を省いてくれる。技術進歩は低コスト、工期短縮、一定の品質を実現した。
 が、その裏返しとして個々の大工が経験不足となった。皮肉にも進化が退化も招いたわけだ。
 それが露呈したのは東日本大震災。「壊れた家の改築、補修と言っても、対応できない大工が意外に多かった」。新築はできても、修繕や改修となると、きちんと対応できない。現場の危機である。
 思い当たった原因は、棟りょうが弟子を指導する「徒弟制」の崩壊。技術伝承が途切れる前に行動しようと思い立った。
 仲間に呼び掛けてNPO法人「匠(たくみ)の右腕」を立ち上げたのが2012年9月。以来、若い職人や子どもを対象にした大工塾や大工体験教室を主催。高校生や専門学校生の大工版就職セミナーで人材確保にも努めた。「大工の仕事を長く続けてもらうためには、生活の安定も重要」と、大工版婚活イベントも催した。
 工務店の2代目。跡取りと言われるのが嫌で、仙台商高に進んだ。紆余(うよ)曲折を経て大工の仕事を継いだ。早朝も休日も関係なく、現場で仕事をした。技術を習得するにつれ、ものを作る職人の喜びを感じるようになった。
 「今は自ら手掛ける実践授業を、現場を退いた高齢の大工に徐々にバトンタッチすれば、若い人材を育てる新しい形の師弟関係が出来上がる」。そのための具体策をあれこれ練るのが日課だ。(は)

<たかはし・わたる>74年栗原市生まれ。東日本航空専門学校(岩沼市)中退。父親が営む栗駒建業(仙台市泉区)で約10年間、大工仕事をした後、常務を経て12年から社長。仙台市泉区在住。


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2016年01月16日土曜日

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