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<閖上アカガイ>魅力に磨き 宮城大とタッグ

アカガイを重量分別機にかける漁業者。出荷時の規格統一に効果を上げている=名取市閖上

 東日本大震災で被災した宮城県名取市閖上の特産品「閖上アカガイ」のブランド化を推進する動きが活発化している。漁業者は宮城大の協力を得て品質・資源管理を強化。「日本一」と称されるアカガイの魅力に磨きをかけ、閖上の復興と水産業発展につなげたい考えだ。(岩沼支局・成田浩二)

<味や香りに高評価>
 昨年末、閖上漁港にある魚市場の一室に宮城大食産業学部の学生の声が響いた。「味や香りは依然評価が高い。でも、色のばらつきを指摘する声もありました」。東京・築地市場の仲卸業者らに聞き取りした閖上アカガイの評価に、地元漁業者は熱心に耳を傾けた。
 宮城大による閖上アカガイの調査は市の委託で2009年度に始まった。定期的に市場調査と品質の分析を行い、結果を漁業者にフィードバックしている。
 名取川や阿武隈川が運んだミネラル分が豊富な仙台湾は、アカガイにとって最適な成育環境。「うま味成分のアミノ酸が多く、すしの印象を決める身の色も理想的な赤に近い」と同大の西川正純教授は分析する。
 ただし、安穏とはできない。漁の場所や時期によって品質が安定せず、身が黒ずむことも。値の高さが敬遠され、近年は安価な輸入品を扱う店も増えている。

<多品種の漁獲必要>
 震災のダメージも大きかった。閖上に20隻あったアカガイ船は津波で全て流失・損壊。現在は12隻が復活し、震災前を超えるレベルに水揚げ高が回復した。半面、「人手や労力の問題からカレイ、ヒラメ、カニなど他の魚種の水揚げは落ち込んだ」(市農林水産課)。
 アカガイの比重が増す中、閖上漁港は品質管理を向上する取り組みに着手した。12年春に重量分別機を導入、目分量に頼っていた大きさの選別精度を高めた。
 資源管理のため、貝をすくう漁具「マンガン」の爪の間隔を広げて小さなアカガイは採らない工夫も。今後はさらに漁場の土壌成分を分析し、成育状態にむらが出る原因を探る計画だ。
 西川教授は地域団体商標登録によるブランド保護を促す一方、アカガイへの過度の依存には否定的だ。閖上で今春から水産加工団地が稼働することを踏まえ、「水産業全体の底上げには生食中心のアカガイだけでなく、加工業にインパクトを与える多品種の漁獲が必要だ」と強調する。
 市はシラス漁などに必要な新たな漁具の導入支援にも乗りだした。県漁協仙南支所は「閖上周辺の海域は元来資源豊かで、大消費地・仙台に近いなど立地にも恵まれている。漁場が持つ潜在能力を最大限引き出す戦略を講じたい」と話す。

[メモ] 閖上のアカガイ漁は1940年代に始まった。2014年の水揚げ高は約74トン、生産額1億3167万円。品質は全国的に評価が高く、東京・銀座の名店「すきやばし次郎」の小野二郎氏は本の中で「凄(すご)く肉厚なくせに、不思議に思えるほど柔らかい」などと絶賛する。


2016年01月18日月曜日

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